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» 2020年01月10日 08時00分 公開

AI導入は苦悩の連続、パーソルは3つの壁にどう立ち向かったのか

パーソルテクノロジースタッフは、求人ニーズと求職ニーズをマッチングさせる業務の効率化を図ろうと、AI(人工知能)を活用したシステムの開発に着手した。しかし、その道のりは苦難の連続だった。

[土肥正弘,ドキュメント工房]
2019年10月25日「豆蔵 DX day 2019」に登壇したパーソルテクノロジースタッフ 新規事業開発本部 テクノロジー推進部 部長 鈴木規文氏

 ITや機械などのエンジニアに特化した派遣事業を担うパーソルテクノロジースタッフは求人ニーズと求職ニーズをマッチングさせるコーディネーション業務にAI(人工知能)を活用し、デジタルトランストーメーションへの一歩を踏み出している。しかしAIの導入は苦労の連続だった。

 初期には機械学習に必要なデータがそろっておらず、社内に「十分なデータを残す文化」も根付いていない。最新技術への理解も十分ではなかった。さらに本番開発を始めると必要な人材を見つけることに苦心したという。

 同社はこうした壁をどのように乗り越えたのか。パーソルテクノロジースタッフの鈴木規文氏(新規事業開発本部 テクノロジー推進部 部長)が、プロジェクトの苦労とそこから得られたAI導入のノウハウを語った。

経営トップから「テクノロジーで新しい景色を見せてくれ」というミッションが下される

 同社がAIの導入を検討した背景には、経営トップからの「テクノロジーで新しい景色を見せてくれ」というミッションがあった。「何をやればの良いのか分からなかった」と鈴木氏は言う。

 同社は、これまでもITによって業務を改善する取り組みに注力してきた。しかしITや機械などのエンジニアが不足する中、求職者を集め、求人ニーズとマッチさせるためのコストは増大。既存の業務改善だけではその課題を解決できなかった。今後は「自社の強みをテクノロジーでさらに強化する」施策が求められた。

 「パーソルグループは1000万人以上の求職者情報と63万件以上の求人情報を保有しており、その中から最適なマッチングを提案できることが強みです。この強みを伸ばしてコーディネート業務を効率化させるために、AIの導入を検討しました」(鈴木氏)

 同社の基幹システムには求職者の属性、企業の求人関連情報が登録されている。従来、コーディネーターは基幹システムからマッチングの検討材料となる情報を入手し、就業希望者の情報と求人情報とを照らし合わせて適合性を判断していた。

 「基幹システムから情報をスピーディーに検索できる仕組みは整っていましたが、仕事の進め方は“アナログ”的で、紙資料を使った作業が中心でした。また、コーディネーターの経験やスキルによって生産性やマッチングの精度に差が出る恐れがありました」(鈴木氏)

 こうした課題を背景に、鈴木氏は機械学習を使った分析によってコーディネーター業務をサポートするシステムを独自に開発することを考えた。基幹システムのデータを基にAI技術による分析を実施し、「マッチングの可能性がある」求職者と企業の組み合わせを自動的にリスト化。このリストを基に、コーディネーターが判断を下せるようになれば、業務を効率化できる。新たに創造された時間で、コーディネーターが求職者の話を聞き、共感することにより多くの時間を割けるようになると考えたのだ。

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