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» 2018年11月30日 10時00分 公開

実例で学ぶ、RPAが止まる4つの原因と回避の手引きRPAで失敗しない、“優等生ロボット”の育て方・付き合い方(3/3 ページ)

[樋口 匡, 西本 浩平,SHIFT]
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4.「ロボを再実行できない」その原因と対策

 「ロボを再実行できない」とは、ロボが停止した際、ロボの再実行をユーザーの手で行うことが難しく、システム担当者の対応が必要になってしまうような事象を指す。現場でロボを活用するのはユーザーであるため、本来はユーザー自身が停止の原因を取り除き、再実行できるような状態にしておきたい。

図6 ロボの再実行をする際に問題が発生する例 図6 ロボの再実行をする際に問題が発生する例

 まずは、望ましくない例から説明する。図6では1台のロボが1〜4の一連の作業を自動化している。「4.振込一覧送付」時にロボが停止した場合、再稼働の際には、「1.給与情報取得」から再び業務をスタートしなくてはいけない。ロボは一連のフローの途中から作業をスタートできないためだ。そうなると振込情報一覧が二重に作成され、再稼働したことでまたロボが停止あるいは誤動作を起こす可能性がある。

 スムーズに再稼働させるためには、ロボを開発する前段階で、できる限り小さな作業単位で分割して設計することが重要だ。具体例も交えながら解説しよう。まず、図7のフローに対して、業務単位ごとにロボを分業化してみる。

図7 ロボ業務を再実行しやすい小さな作業単位に分割した例 図7 ロボ業務を再実行しやすい小さな作業単位に分割した例

 この場合、「4.振込一覧送付」の時点でロボが停止をしても、4の工程内で作業のやり直しが可能だ。このように、作業単位、言い換えると機能単位でロボを開発することで、再稼働が容易になる。ロボの分業をイメージしながら1ロボの作業範囲を決めていくことが重要だ。

 ロボの分業化は、「ロボの再利用性」という観点でも生きる。業務をRPA化する際には同様の作業を行うロボットを何度も必要とする場合が多い。RPAツールの種類によっても、多少方法は異なるが、ロボを可能な限り小さな作業単位に分割しておけばロボの再利用性が高まる。さらに、運用保守時にも第三者がメンテナンスしやすい。

 また、ユーザー自身がロボを再実行するには、運用の設計も肝となる。基本ではあるが、実際の現場では見落とすことが多い。本稿では詳述しないが、ロボの再実行手順、問い合わせフローの整備も検討が必要だ。

ロボに影響を与える外部環境の変化

 以上では、ロボの設計・開発の工程で抑えるべきポイントを、代表的な4つのロボトラブルに沿って解説した。最後になるが、ロボトラブルの中でも「ロボが止まる」「ロボが誤作動をする」という事象は、今回説明した理由だけで起こるわけではない。例えば、ロボが操作する対象のシステム自体に変更が起こる場合など、取り巻く外部環境の変化によって、ロボが止まってしまうことも多々ある。

 表4では、外部環境の変化として代表的なものを記した。少々専門的な内容になるが、この例を見れば、一般的なシステムの際の保守・運用の内容と近しいことを検討する必要があると分かるだろう。

表4 ロボに影響を与える外部環境の要素 表4 ロボに影響を与える外部環境の要素

 ロボは一般的なシステムより外部環境との連動が多いため、変化にはことさら影響を受けやすい。外部環境の変化に強いロボを作るために、RPAツールやRPAが動作する実行基盤、またRPAが操作する対象のシステムなどを変更する場合にはロボに影響が無いか見極めが必要だ。それだけでなく、表4の要素に関わる運用プロセスを、ロボのリリース前に整備しておきたい。この詳しい内容については、また改めて解説の機会を持ちたい。

 今回は、RPAを活用した業務自体の停滞につながる、ロボのトラブル回避策について開発のポイントを絞って解説した。次回は、これらのポイントと開発の効率性向上という観点も交えて、ロボ開発の望ましいプロセスを紹介する。

企業紹介:SHIFT

ソフトウェアの品質保証・テストの専門企業として、金融機関や保険会社、大手流通系企業や自動車メーカーに至るまで、さまざまな領域における企業のITシステムやソフトウェアの品質向上を手掛ける。製造業の業務プロセスコンサルティングを前身とすることから、プロジェクトおよびプロダクトの品質向上を目指した業務プロセス改善には、独自のノウハウと数多くの実績を持つ。2017年ごろからは、RPAロボットの開発・運用に関するご相談が急激に増え、2018年にはRPA診断改修サービス「ROBOPIT!」の提供を開始。現在は専任部署を立ち上げ、RPA事業に取り組む。

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