SHIFT ビジネストランスフォーメーション事業本部 エンタープライズビジネスユニット 金融第2グループ プリンシパル
大手SIerで、金融機関に向けた構想策定、要件定義、設計、テストまで一連の開発業務を経験。電子マネーの新規事業構築にも従事。その後、外資系大手コンサルティング会社において、金融機関のIT戦略/投資立案、IT構想策定、IT導入支援(PMO/テスト戦略など)など、多数のプロジェクトをシニアマネジャーとしてけん引する。また、IT投資フレームワーク構築などにも従事。SHIFTでは、複数の金融系プロジェクトの統括責任者としてコンサルティング業務を行い、RPA/BPM新規事業構築、方法論構築にも精力的に取り組む。
SHIFT ビジネストランスフォーメーション事業本部 技術推進部 RPA推進グループ 兼 技術推進グループ
大手SIerをはじめ、金融、通信、EC関連企業など、さまざまな領域において複数のソフトウェア開発プロジェクトに参画。ソフトウェアの品質保証・テストの観点から、計画・設計、プロジェクト全体の体制構築、品質管理、PMO業務まで業務経験は多岐にわたる。現在は、金融機関のRPAプロジェクトの開発および品質保証業務に注力するとともに、大手通信系企業の品質標準プロセスの構築推進にも従事する。
「RPAは簡単に導入し、運用できる」という世間の評判に多くの企業が期待をかけている。しかし、業務改善やRPAロボット(以下、ロボ)の品質保証に関する支援を行っていると、ロボを導入した企業から、悩みや相談を聞く機会が多い。以前SHIFTが開催したロボの品質改善に関わるセミナーで、出席者を対象としたアンケートを実施したところ、回答者のうち実に約4割が「ロボが良く止まる」「ロボが誤った動きをして業務が滞る」などの品質に関する悩みを抱えていることが分かった。
なぜこのような悩みが生まれてしまうのか。真因をたどると、ロボを開発し、活用する方々がロボの特性を踏まえた対策を事前に打てていない、すなわちロボの開発プロセスに誤りがあることが多い。今回は、ロボのトラブルを回避するためにロボの設計・開発の工程で押さえるべきポイントを紹介する。
第1回の再掲となるが、ロボは外部環境と連動を図り、データをやりとりしながら作業を進める(図1)。従って外部環境との連動を考慮しきれないままロボを開発した場合、ロボの停止や誤作動などのトラブルが発生し、ロボが関わる業務自体が滞ってしまう可能性がある。
これらの“ロボトラブル”は、大きく以下の4つに分けることができる。回避するためには、ロボの開発段階で打っておくべき対策がある。具体例を交えて説明しよう。
「ロボが止まる」とは、動作中のロボが停止してしまう事象のことだ。ロボが停止すると、そのロボが担っていた業務自体が滞る。場合によっては顧客にも影響が及ぶかもしれない。このようなトラブルが頻出すると、重要な業務をロボに任せられず、ヒトはいつまでも業務から離れられない。
例えば、月次の給与振込作業をロボ化した図2のフローでは、2の行程で振込先情報を取得するロボが停止すると、その後の作業にも影響が及び、振込が滞ってしまう。根本的な原因は、多くの場合、そもそもロボ開発の担当者に「止まりにくいロボ」を作るという発想が抜け落ちていることにある。
「止まりにくいロボ」を作るポイントの一つは、ロボに操作する対象、すなわちオブジェクトを認識させる方法だ。例えば、図2の「2.振込先情報取得」では、ロボが振込先情報画面の「ダウンロードボタン」を押すことで振込先情報を取得している。図3ではその工程を分解し、抜き出した。このロボの開発の時点では、ロボが押す「ダウンロードボタン」というオブジェクトをどう認識させ、操作させるかが重要だ。
この場合では、一般的に表2に挙げるa〜eの5通りの方法が考えられる。どれが好ましいか分かるだろうか。
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