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» 2018年11月28日 08時00分 公開

「過剰な期待」に終わらない、現実的なRPA活用の極意 (1/5)

大企業のみならず、中堅・中小企業においても「RPA(Robotic Process Automation)」による業務の自動化に期待が集まっている。だが、「RPAを導入すれば、無駄な手作業が簡単になくなる」というわけではない。市場調査データを分析していきながら、「こんなはずではなかった」とならないためのRPA活用の留意点について見ていくことにしよう。

[岩上由高,ノークリサーチ]

アナリストプロフィール

岩上由高(Yutaka Iwakami):ノークリサーチ シニアアナリスト

早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻卒業後、ジャストシステム、ソニーグローバルソリューションズ、ベンチャー企業などでIT製品およびビジネスの企画、開発、マネジメントに携わる。ノークリサーチでは技術面での経験を生かしたリサーチ、コンサルティング、執筆活動を担当。


「広義のRPA」と「狭義のRPA」を理解する

 「RPA」の定義にはさまざまなものがあるが、一般的には「ソフトウェアによって事務作業を自動化する仕組み」と説明されていることが多い。だが、Microsoft Excelのマクロ機能も事務作業の自動化という点では同じではないかという疑問が生じてくる。一方で、「RPA」を「人工知能や機械学習を駆使し、人間の知的な労働を自動化する取り組み」と説明しているケースもある。さらに、昨今ではRPA機能を備えたERPも登場してきている。そうなると、RPAとAIは何が違うのか、RPAとは業務システムが備える機能の1つを指すのかなど、さらなる疑問が生じてくる。

 つまり、「RPA」という言葉が指しているモノは一体何なのかをまず理解し、整理しておく必要がある。その際に役だつのは以下の図解である。これは筆者が昨今のRPAに関する市場調査などに基づいて、「RPAの全体像」をまとめたものだ。

出典:2018年版 中堅・中小企業におけるRPA活用の実態と展望レポート(ノークリサーチ) 出典:2018年版 中堅・中小企業におけるRPA活用の実態と展望レポート(ノークリサーチ)

 まず、左端の従来の関連技術を見ていただきたい。これまでにもデータ入力、変換の場面では「ETL(Extract/Transform/Load)」、データ処理の場面では「マクロ(主にMicrosoft Excel)」、業務フロー連携の場面では「ジョブ管理」や「BPM(Business Process Management)」といったように、それぞれの業務場面を自動化する手段は既に存在していた。ただし、これらはいずれも処理の内容(プログラムやスクリプト)を人間が記述することで実現する自動化だった。

 一方で、事務処理の中には、人間にとっては規則性のある繰り返し作業だが、処理の内容を記述することが難しい業務場面も少なくない。例えば、紙面の申込書に書かれた氏名や住所を顧客管理システムに転記入力するといった作業を考えてみる。人間にとっては決まった段取りの繰り返し作業だが、紙面の内容を読み取って、氏名や住所といった項目を顧客管理システムの然るべき入力覧に転記するという処理内容を記述することは容易ではない。

 だが、紙面の申込書を画像として取り組み、画像内の氏名欄や住所欄の位置を記憶すれば、後は文字認識技術を使って氏名や住所をテキストとして認識できる。続いて、顧客管理システムの入力覧についても位置や構造を記憶しておけば、氏名や住所を然るべき入力覧に自動的に入力することが可能になる。実際、現在ではMicrosoft Excelの「マクロ記録機能」のように人間が手作業で行った操作を元に、上記のような処理内容を記憶して再現することが可能となっている。

 このように、人間にとっては決まった段取りの繰り返し作業だが、プログラムやスクリプトを記述することが難しかった事務処理を自動化することのできる仕組みが「RPA」である。上記の図では「ルールに基づく自動化」と記載された範囲が該当する。

 さらに一歩進んで、問い合わせメールに自動的に返信するといった取り組みも徐々に進みつつある。メール文面は多種多様であるため、ルールに基づく自動化では人間の処理内容を再現することが難しい。そこで、人工知能や機械学習の技術を用いて、多数のメール文面のパターンを認識させる。これによって、こんな感じのメールは問い合わせと判断して返答文A、こんな感じのメールはクレームと判断して返答文Bといった、より人間らしい自動化に対する研究も進んできている。これも「RPA」の範ちゅうであり、上記の図では「認識、推論を伴う自動化」と記載された範囲が該当する。

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