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» 2018年11月19日 10時00分 公開

リファラル採用はどこが“しくじり”ポイント? 5分で分かる原因と対策 (3/3)

[土肥正弘,ドキュメント工房]
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(4)制度に対する従業員の認知度や参加率、紹介率が増えない

 自社がリファラル採用を行っていることを知らないという従業員は意外に多く、制度の認知率を上げることはたやすくない。さらに、紹介の動機付けや促進の施策を継続して行わなければ制度は定着せず形骸化してしまう。

 リファラル採用ツールでは、制度の認知から紹介の動機付け、促進まで各段階に必要な仕掛けができ、従業員の巻き込みを効果的に行える。

 制度を認知させる際には、トップから「なぜリファラル採用をやるのか」「表彰やインセンティブを含めて、従業員にどのようなメリットがあるのか」をメッセージとして発信し、リファラル採用に対する“本気度”を見せることが重要だ。リファラル採用ツールでは、トップメッセージや成功事例、会社の魅力を示したコンテンツをマイページで発信する機能があり、制度の認知度を向上できる。

 また、紹介の動機付けを行うには継続的に従業員のアクションを促す仕掛けが必要だ。リファラル採用ツールでは、マイページで応募ポストだけでなく、活動成果やイベントの案内、その他のテーマの情報を配信でき、情報の角度を変えて絶えず情報を発信し続けることで、制度を定着させ、従業員の行動を促進できる。例えば、MyReferの「ランキング機能」は従業員別に紹介数のランキングを公開し、ゲームの要素を入れることで参加を促す仕掛けの1つだ。

 従業員の参加率に応じて個々にパーソナライズさせた情報を届けることも可能だ。人事担当者は、管理画面で「ログイン数が多い従業員」「紹介数が多い従業員」などの条件で従業員を検索し、コンテンツを指定配信できる。これによって、参加率の高い従業員にはニッチな応募ポストの採用情報を告知し、低い従業員には、参加を促すためにインセンティブの情報を配信するといった采配も可能だ。

 リファラル採用ツールでは、従業員を巻き込む戦略を立て、そのストーリーに沿って継続的に施策を打つための仕組みを用意している。

図4 制度認知・浸透を進める継続的なアプローチの例 図4 制度認知・浸透を進める継続的なアプローチの例(出典:MyRefer)

(5)従業員が自社を紹介したいと思えない

 従業員が自社に魅力を感じていない企業では、リファラル採用を運用することは難しい。「そもそも自社を紹介したいと思えない」という従業員が多ければ、紹介率も上がらないからだ。リファラル採用では、制度の促進とともに、企業に対する従業員の愛着を高める施策の両輪が必要になる。

 リファラル採用ツールでは、従業員の“愛着”の度合いを可視化し、企業の強みや弱みを明らかにする機能を提供するものもある。「Refcome Engage」では、従業員への満足度アンケートを実施・分析し、企業への愛着度を「魅力的な仲間」「魅力的な仕事」「成長できる環境」「適切な評価と報酬」「働きやすい環境」などの項目で数値化して、「eNPS(Employee NPS)」と呼ばれる従業員ロイヤルティーの値を割り出せる。

 各数値は企業全体だけでなく、部署を区切って分析でき、結果を基にリフカムのコンサルタントとともに、原因と解決策を探ることも可能だ。時系列で数値を追う機能もあるため、どのような施策が結果に結びついたのか、PDCAを回す際にも役立つ。

 リファラル採用ツールでは、こうした機能やコンサルティングを通じて、リファラル採用を促進できる文化の土壌作りも支援する。

図5 企業全体および部署ごとの従業員”愛着度“を可視化 図5 企業全体および部署ごとの従業員”愛着度“を可視化(出典:リフカム)
図6 企業に対する“愛着度”の推移 図6 企業に対する“愛着度”の推移(出典:リフカム)

リファラル採用の落とし穴と制度設計のポイント

 リファラル採用ツールを提供するベンダーは、ツールとともにコンサルティングサービスを提供し、制度設計のアドバイスを行うことが多い。コンサルティングの過程では、以下で挙げるような失敗を経験した企業を見てきたという。それぞれ、事例を交えて回避策を紹介する。

(1)高額なインセンティブを用意したのに採用につながらない

 リファラル採用を促進する施策として、従業員にインセンティブを用意しているケースも多い。インセンティブは、紹介のモチベーションを高める仕掛けとなる一方で、インセンティブが高額すぎると紹介の質を下げるというリスクがあるため注意が必要だ。例えば、80万円のインセンティブを用意したというある企業では、会社にマッチしていない人の紹介が多くなり、リファラル採用本来の良さを発揮できなかった。インセンティブは高くしすぎず、数千円〜数万円のレンジで適切に設定する必要がある。

 ちなみに、リファラル採用ツールの中には、知人を紹介する手前のアクションに対して、ポイントを付与できる仕組みを用意するものもある。例えばMyReferでは、マイページにログインするなどの行動に対し、「ソーシャルポイント」呼ばれるポイントを配布できる。報奨金を付与しなければならない人事側の負担を軽くするだけでなく、いずれは紹介につながるようなアクションを積み重ねる効果がある。

(2)知人が不採用となり、紹介した従業員の人間関係が悪化する

 従業員が推薦した応募者が選考の結果で不採用となった場合に、紹介側の従業員が責任を感じたり、紹介された応募者と人間関係が悪くなったりする場合もある。こうした事態を防ぐために、応募者は必ず採用されるわけではないということを社内で周知させる必要がある。リファラル採用を実施する多くの企業では、応募者との面談は確約し、選考の上で不採用となる場合があることを明文化している。

(3)似たような人材が集まり、“仲良しコミュニティー”になってしまう

 従業員の紹介によって生まれるリファラル採用では、タイプの近い人が集まる傾向にある。企業文化にマッチした人物を獲得できる一方、似た人材が集まることで変化が生まれない“仲良しコミュニティー”が出来上がるというリスクは考慮しなければならない。リファラルで採用した人の配置部署をばらけさせるなどの工夫が必要だ。

 本稿では、リファラル採用の注意点と、ツールおよび制度設計による問題の解決法を紹介した。なお、リファラル採用は中途採用だけでなく、新卒採用への適用も進んでいる。特に、2021年度には就職協定が廃止され、新卒者も含めた通年の人材獲得競争が激化する。インターンを介して学生へ制度を紹介し、新卒の採用に生かすと同時に、数年後の応募を見越したアプローチをとる企業も増えるだろう。今後、こうした動向も視野に入れて、リファラル採用ツールに関する最新情報もチェックしておきたい。

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