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» 2018年11月19日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:リファラル採用はどこが“しくじり”ポイント? 5分で分かる原因と対策 (1/3)

規模や業種を問わず、多くの企業が注目する「リファラル採用」。採用決定率が高く、離職率は低いというメリットがある一方で、成功までにはいくつかの障壁がある。その打開策とは。

[土肥正弘,ドキュメント工房]

 従業員の人脈を活用する「リファラル採用」に注目が集まっている。「採用コストが下がる」「社風にマッチした人を採用しやすい」といったメリットによって多くの企業が関心を寄せており、日本では2014年から2017年の3年間でリファラル採用の制度を設計、運用している企業が53%も増加した(※)。

 しかし、導入企業は思わぬ落とし穴にはまるケースが多い。「人事の手間が増えた」「社員の紹介率が上がらない」といった声が上がる。本稿では、リファラル採用を実施する企業が失敗に陥りやすいポイントを挙げ、ツールと制度の両輪で解決する方法を紹介する。

※ソーシャルリクルーティング白書2012(日本)、MyRefer調査(日本)、Jovitelレポート(米国)、エン・ジャパン調査より

リファラル採用のメリット

 リファラル採用とは従業員からの紹介や推薦による採用方法のことであり、「紹介採用」とも呼ばれる。手法自体は新しいものではないが、2014年ごろからフリマアプリを提供するメルカリなどの成長企業が「成長の秘訣(ひけつ)の一つが求める人材を通年採用できるリファラル採用である」と発言し、リファラル採用という用語に関心が集まった。このころ、リファラル採用を支援するツールも生まれる。2015年11月には人材紹介業者のパーソルキャリアが社内ベンチャー事業(2018年にMyReferとして独立)としてリファラル採用の重要性を提唱し、リファラル採用を支援する「MyRefer(マイリファー)」サービスの提供を始めた。また、2015年に事前予約を開始していたリフカムも、2016年7月にリファラル採用支援ツール「Refcome(リフカム)」の提供を開始した。この時期、各社からリファラル採用支援を行うクラウド型のサービスが登場している。

 現在は、日立、富士通、日産、パナソニックなどの大企業をはじめ、企業規模、業種を問わず数多くの企業がリファラル採用を取り入れている。なぜ、関心が高まっているのだろうか。従来、企業はメジャーな採用手段として就職情報メディアや就職エージェントを活用してきたが、コストの高止まりや決定率の低さなどの問題があった。「採用戦略を変えなければいけない」という風潮の中、1つの打開策としてリファラル採用に関心が集まっている。まずは、そのメリットを紹介しよう。

(1)採用の目的にマッチする人材を採用できる

 リファラル採用でリクルーティングを行う従業員は、応募者のスキルや性格を理解した上で募集ポストの説明ができるため、応募者は自分が働くシーン、あるいはオンボーディング(受け入れから定着までのプロセス)についてもイメージしやすくなり、理解の食い違いが生じにくい。結果的に、採用決定率が高く、離職率は低くなる。ある飲食チェーン店の企業では、2017年4月から従業員およびアルバイトのリファラル採用をはじめ、応募者の9割弱が採用に至り、採用決定数が約6倍に増加したという。

(2)採用コストが圧倒的に低く、ROIが高い

 人材採用コストは、担当者の人件費、交通費などに加え、各種求人媒体への求人広告費と、人材紹介エージェントやコンサルタントに支払う依頼費、会社説明会や各種関連イベントに伴う会場費、入社案内の制作費と郵送費、メールの通信費など、外部業者への支払いが多い。一方、従業員がリクルーターとなるリファラル採用は外部業者への支払いを削減できる上、前述したように採用決定率が高く、早期に辞める確率も低いためROIが高いといえる。

(3)会社と従業員のエンゲージメントが強化される

 エンゲージメントとは従業員と企業が互いに信頼できる関係であるかを表す概念だ。知人に自社を紹介する際には、自社のことを言語化して伝える必要があるが、その過程で自社の魅力や福利厚生をはじめとするメリットが再確認できる。リファラル採用の促進を全社で行うことで、会社全体のエンゲージメントも高くなる。

【コラム】コネ採用との違い

 縁故採用は自社や取引先の有力者が推薦した人を対象に、採用することを前提とした特殊な採用枠というイメージが強い。一方、リファラル採用は社員が紹介した応募者に対し、共通のルールの下で公平に選考を行う制度であり、採用を前提とした選考を行うものではない。

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