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» 2018年11月16日 17時00分 公開

RPAをやる時間もない――多忙すぎるメタルワンの「ロボットコンテスト」奮闘記事例で学ぶ! 業務改善のヒント(2/3 ページ)

[土肥正弘, 溝田萌里,キーマンズネット]

コンテストへの応募件数は120件、79体のロボットができた

 かくして始まったメタルワンのRPA導入。どのようにして現場にRPAを浸透させ、皆が「作って使える」環境を整えるかに頭を悩ませた。現場ごとに異なる業務が林立するため、センターで対象業務を選定してスケールするという方法は無理がある。肝心の従業員は多忙でRPAに着手するモチベーションも時間もない。

 悩んだ末、経営企画部内からロボットコンテストというアイデアが出た。コンテスト形式をとり、上位入賞者は経営陣にプレゼンする機会を与えることで、モチベーションも高まるのではないかという声が上がったのだ。現場と同じ目線を持った営業出身のメンバーが出したアイデアということもあり、「これはいける」という確信が生まれ、開催が決まった。

 早速、各部署から運営事務局のメンバーを指名し、手探りでプロジェクトを始動した。まさにゼロからのスタートで試行錯誤の連続だった。まずこだわったポイントは自由に参加が可能なコンテストとすること。これには、やりたいと思う人にRPAを取り組んでもらう狙いがあったと人事部 人材開発ユニット 植田聖子氏は話す。

 「上から強制する方法では、従業員のやる気も起きません。『現場の業務課題をRPAで解決してみませんか』と参加を呼びかけ、やりたい人が自分のできる範囲で取り組めるようにしました」(植田氏)

 さらに、コンテストの期間を明確に区切ることで、多忙な従業員がモチベーションを保てるように配慮した。それは通常業務と兼務でロボコンの運営やルール作りに尽力し、めまぐるしい日々を送った運営事務局も同様だ。スケジュールは厳格に区切りを設け、短期間で集中した取り組みを促した。

2017年度ロボットコンテストのスケジュール
7月 ロボットコンテストの開催を発表、エントリーの案内開始
8月 WinActorの集合研修
9月 現状業務の文書化とRPAツールを使ったロボット作成
11月末 完成したロボット(シナリオ)、文書(業務の現状と将来像を記述)、稼働中の動画、効果検証レポートをセットで提出

 植田氏は「魅力的なイベントとして従業員を盛り上げ、期間限定とすることでモチベーションと時間の問題に対処しました」と振り返る。結果的にエントリー数は120件、10月には90件の文書が提出され、11月の締め切りには79件のロボットが出そろった。

運営事務局の工夫と専門家のサポートが不可欠

 3カ月という短期間にロボットを作成し、必要な書類をそろえることのハードルは高い。それでも79件ものロボットが提出された背景には、運営事務局のさまざまな工夫と現場へのサポートがあった。

 エントリーを開始したころは、RPAとは何かが分からない従業員も多かった。まずはRPAで何ができるかをイメージしてもらいたい。そこでWinActorに関する2時間半のカリキュラムを組み、8月に集合研修を開催した。その後もツールに関する相談会を設けるなど、技術面で手厚いサポート体制を用意した。さらに「業務の視点」からも事務職経験のある事務局のメンバーが絶えず助言を行ったとITソリューション部 システムユニット 兼 デジタル・イノベーション室の小林玲子氏は語る。

メタルワン 小林玲子氏 メタルワン 小林玲子氏

 「ロボットのシナリオを作る前に現状の業務を文書で整理してもらいましたが、ここでつまずく従業員が多かった。文書化の作業はシナリオを起こしやすくするだけでなく、業務を客観的に振り返り、改善ポイントを見つけるための大事なフェーズです。アドバイスを丁寧に行いました」(小林氏)

 ロボット作成の期間に入ると、月次で進捗(しんちょく)を確認するフォローアップ会議を設けた。この会議には「部を超えた人のつながり」を生み出すという大きな狙いがあった。

 「部署を超えた交流の機会を設けることで、情報共有の場と助け合う環境を作れたらよいと思っていました。実際に、早々にロボットを完成させた営業職の参加者が、会議の場でロボットの動く様子を見せてくれました。皆のモチベーションが一気に上がったことを覚えています。この従業員は以降部署を超えた“RPAの先生”として慕われ、親身になって参加者の相談にのってくれていました」(小林氏)

副賞はシリコンバレー出張、130人で盛り上がった最終審査会

 提出されたロボットの中から経営層の前でプレゼンを行う10位までを選抜した。100点満点で評価し、50点を「ロボットによる削減時間」に配点した。RPA活用の背景には新しいことを始めるための時間創出という目的があり、その貢献度に重きを置いたのだ。その他、業務プロセスの改善や取り組みへの姿勢といった観点で評価した。今回選ばれるロボットは、今後現場で開発する際の指針となるため、評価ポイントは極力明確にした。

 一方、WinActorのシナリオの中身までは考慮しなかったという。

 「当社はRPAツールのプロを目指しているわけではありません。RPA活用で何を目指しているかが明確に伝わるようにするために業務をどう変えられるのかを見る、という軸で評価しました」(齊藤氏)

 優勝を決めるプレゼン大会には130人が詰めかけ、大いに盛り上がった。1位を獲得したのは決算情報の特定数値を実績と比較してチェックするロボットだ。上位の応募者、団体には副賞も用意した。またMVP3人を選出してシリコンバレーに出張させ、新しい動きを肌で感じてもらうとともに、米国子会社でRPA活用のプレゼンを実施してもらった。安藤氏は「表彰された従業員をはじめ、参加者の成功体験は次のモチベーションにつながり、参加していない従業員のRPAへの関心も高くなったと感じます」と話す。

 現在開催中の第2回ロボットコンテストでは、前回を超える168件のエントリーが集まっている。コンテストを通じてRPAに対する従業員の意欲は確実に上がっている。

プレゼン大会当日の様子 プレゼン大会当日の様子

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