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» 2018年10月24日 10時00分 公開

すご腕アナリスト市場予測:地震や台風から情報資産を守る救世主・データセンター活用の今 (3/3)

[吉井 誠一郎,IDC Japan]
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台風や地震などに見舞われた2018年、注目は「災害対策」

 外部データセンターサービス選びのポイントは、どんなところにあるのだろうか。アンケート結果では、「信頼性/可用性に関する評判」との回答が最も多かった。この辺りは当然と言えば当然だが、ここで注目したいのが、やはり回答の多かった地震などの災害への対策だ。

 災害対策については、2018年4月に発生した島根県西部地震や6月に発生した大阪府北部での地震、そして9月には北海道に大きな被害をもたらした北海道胆振東部地震など、2018年に入ってからも地震災害が繰り返し発生しているだけでなく、日本列島に直接被害をもたらした台風も2018年は数多く発生。2018年8月に発生した台風21号は観測史上1位となる暴風を記録、関西空港を機能停止にまで追い込んだのは記憶に新しい。

 頻発する災害に対して、まさに災害対策への十分な対策が施されているデータセンターは、企業の情報資産を守るための重要な基盤となってくれるはず。災害対策が重視するポイントの上位に挙がってきているのは当然の結果だろう。

 なお、当然ながら価格も選定時に重視されているが、価格競争はいよいよ人手の対応ではもはやこれ以上下げられない状況に迫りつつある感もある。事業者側としては、価格以外の部分で付加価値を提案することはもちろん、自動化やソフトウェアデファインドな環境で変更を手間なく容易にするなど、できる限り人手をかけない運用に移行できる環境づくりを積極的に行っている。当然自動化が進めばコスト的にもおさえることができるようになるため、利用するユーザーにもメリット提供が可能になるはずだ。

 今回は、どの地域のデータセンターを利用しているのかについてのアンケートも実施しているが、東京に本社のある企業が遠方のセンターを利用しているケースが多いことが見て取れた。現在利用しているデータセンターの場所と利用企業の本社所在地の情報を合わせてみてみると、北海道から東北、北陸、東海、中国/四国、九州/沖縄、海外まで含めて、各地方のデータセンターを利用している企業の本社所在地を見ると、いずれの地方でも「東京」との回答数が1〜2位を占めていることが分かった。

 当然、東京に本社登記している企業の絶対数が多いことが影響しているが、どの地域でも東京に本社がある企業が利用しているケースが多くなっている。この設問は複数回答だったこともあり、1つの企業で複数のデータセンターを利用していることも十分考えられるため、本番環境としては利便性も考慮して本社近くのデータセンターを利用し、バックアップサイトとして地方のデンターセンターを利用しているというケースもあるだろう。本社から離れたデータセンターを利用している理由が全て災害対策というわけではないが、事業継続も意識しながら万一に備えた環境づくりを行っているであろうことは容易に推察できる。

データセンター利用の目的はバックアップが多い

 実際の利用目的を見ても、その傾向が見て取れる。この設問はクラウドIaaSを利用している企業に対象を絞った設問だが、IaaS利用はバックアップが目的だと回答している中小企業は多い。大企業の場合は、既存インフラの拡大、つまりメインはオンプレで利用しているが、何かのタイミングで拡張するさいのインフラとしてIaaSが選択肢に入ってくると回答している。また、IaaS利用の目的としてバックアップや既存インフラの拡大に次いで多いのが、新しいアプリケーションやサービスのテスト、PoCや開発目的で利用するという声だ。

 他にも、ERPやCRMをはじめとした基幹システムをIaaS上に展開するという声も多く寄せられている。最近ではSAPの2025年問題などが大きくクローズアップされ、対象となるSAP製品を利用しているユーザーは、これから新たな環境への移行が求められてくる。SAPユーザーは日本でも多いことから、基幹系の大掛かりな刷新に向けた環境の1つとしてIaaSを検討する企業も少なくないはずだ。そのきっかけとしてもSAPの2025年問題は注目しておきたい。

コモディティ化するデータセンター選びの現実

 多くの企業が何らかの形で利用したことのあるデータセンターだけに、その歴史もすでに数十年と経過し、ある程度コモディティ化しつつあるのが現状だろう。故にある程度知名度のある事業者であれば、機能面での決定的な差は生まれにくい。災害対策1つとっても、先ごろの地震で地域全体が停電してしまう事態に陥った事案が発生したが、データセンターが停止するような事態は避けられている。

 災害対策の要としてのデータセンターは有用な存在だということは実体験として感じた方も多いはずだが、逆にどのデータセンターでも十分にその実力を発揮したことで、かえってその違いが見えにくくなっているのも正直なところだ。

 それでも価格競争に陥ることのないよう、プラスアルファ価値を提供するべく事業者もさまざまな工夫を凝らしているのは間違いない。差異化に苦労している事業者も確かに存在しているものの、専任の担当者がついてくれる、ITインフラ全体の運用を包括的にサポートしてくれるなど、付加価値をアピールするところもある。泥臭い領域も含めて、データセンターの特徴を見極めたうえでデータセンター選びをしていただければ幸いだ。

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