特集
» 2018年10月15日 10時00分 公開

SAP ERPの「2025年問題」とは? 概要と対策

人手不足が本格化するといわれる2025年。この年、企業の基幹業務を支えてきた古い「SAP ERP」の保守サポートが終了する可能性がある。導入プロジェクトをけん引してきた人材が不在になる前に検討しておくポイントは?

[原田美穂,キーマンズネット]

 団塊の世代が一斉退職して人手不足が本格化するといわれる2025年。この年、企業の基幹業務を支えてきたERP製品の1つ「SAP ERP」の古いバージョンで保守サポートが終了する可能性がある。初期のERPブーム時に導入プロジェクトをけん引してきた人材が不在になる前に、いま準備しておくべきことは何か。SAP ERPユーザーにとっての2025年問題と、選択できる対処方法を紹介する。

【更新情報】SAPは2020年2月にERP ERP 6.0のサポート延長を表明しました。詳細は下記記事をご確認ください。サポート終了期日は延長しましたが、移行に際して検討すべき課題に変わりはありませんので、ぜひ本記事も参考にしてください。

▼SAPが「2025年の崖」転落期日を延長、現行ERPは20年保証を明言
https://www.keyman.or.jp/kn/articles/2002/05/news087.html


この記事で分かること

  • SAP ERP 2025年問題とは何か
  • どうすればよいか〜ミドルウェアを軸に検討する場合の考え方
  • データベースシステムの置き換えから考える場合の考え方
  • 「サポートが切れても使いたい」勢力を説得する材料にはどんなものがあるか

SAP ERP 2025年問題とは?

 所要量計算(MRP)を使った企業資源の管理といった、企業活動の根幹を担う資源の管理についての「ベストプラクティス」をそのまなITシステムに落とし込んだERP(Enterprise Resource Management)。その代表的なツールベンダーの1社がSAPだ。同社の中核は2000年前後から日本企業にも指示されてきたSAP ERPおよび調達や購買などの業務を含むパッケージ「SAP Business Suite」が担ってきた。

 このとき、SAPはアプリケーションベンダーであり、利用するデータベースは「Oracle Database」や「SQL Server」といった複数の選択肢が用意されていた。

 ところがその後SAPは、独自にインメモリデータベースを開発。その長所を生かして2015年に新たにERPアプリケーション「S/4HANA」を開発した。これは自社インメモリデータベースでの利用を前提とした実装であることから、旧来のSAP ERPユーザーは少なくともデータベースを置き変えるなどの対応が必要になる。

 SAPはこの1年前となる2014年に、SAP ERP 6.0、SAP CRM 7.0、SAP SCM 7.0、SAP SRM 7.0を含む「SAP Business Suite 7」や「SAP Business Suite powered by SAP HANA 2013」の保守期限をこれまでの2020年からさらに5年延長し、2025年までサポートすることを表明した。SAPアプリケーションの移行は影響範囲が大きく全社規模での投資になるため、予算面でも工数面でも「すぐに動けない」というのがユーザー企業の本音だ。サポート期間の延長はこの実情に合わせ、ユーザーのIT投資を保護するための措置だ。今にわかに「SAP ERPの2025年問題」として語られる話題はこのことを指している。

 実際のところSAPでは「2025年までしかサポートしない」と表明しているのではなく「少なくとも2025年までは投資を保護する」と約束しているかたちなので、4年前と同様に時期が近づいてきたときのユーザーの状況次第では、さらなるサポート延長も可能性としては残している状態だ。

SAP ERPとSAP Business Suite Powered by SAP HANA、S/4HANAの実装の違い 図1 SAP ERPとSAP Business Suite Powered by SAP HANA、S/4HANAの実装の違い(出典:SAPジャパン公式ブログ)

どうすればよいか〜ミドルウェアを軸に検討する場合

 基幹業務全般をになうERPの更新となればそう簡単に進む物ではない。計画策定から予算確保、検証などを含む行程を考えると「年」単位の行程となる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

ホワイトペーパーや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。