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» 2018年09月18日 10時00分 公開

AIが学生を審査? “採用”に踏み込む最新のAIサービスIT導入完全ガイド(3/4 ページ)

[吉村哲樹,オフィスティーワイ]

AIで360度のプロファイリング…GROW360

 エントリーシートに代わる、新たな審査方法をAIによって確立する動きもある。スマホを使って、学生のデータを収集する方法だ。

 例えば、「GROW360」というサービスもその1つだ。これはInstitution for a Global Society(IGS)が独自開発した人材分析ツールで、複数の評価者によってある人物の評価を行う「360度評価」を、スマホアプリで行い、そのデータを採用活動に生かすものだ。

 具体的なステップは以下の通りだ。まず応募者はスマホを使って、まず自身の自己診断アンケートに回答する。その際GROW360は、応募者のスマホ上での細かな指の動きなどから、本人も意識できない潜在的な性格診断(IAT)を行い、応募者がもともと持つ「気質」を判断する。気質とは「外向性や内向性」「協調性と独立性」「誠実性と快楽性」「開放性と保守性」「繊細性と平穏性」といった人間の潜在的な特性のことだ。

 加えて応募者は、自身の評価アンケートに答えてくれるよう、複数の第三者に360度評価を依頼する必要がある。このアンケート調査を回収・集計することで「課題設定」や「解決意向」「創造性」といった最大25の行動特性、すなわちコンピテンシーのスコアが割り出される。ちなみに、第三者の評価は「その人の評価が甘いか厳しいか」「評価対象者を好きか、嫌いか」といったことに左右されるのではないかという不安があるが、GROW360では「評価の実施日時」や「回答にかかるまでの時間」などのデータを用いて、AIがデータを補正するという。

GROW360によるコンピテンシー360度評価と性格診断(IAT) 図2 GROW360によるコンピテンシー360度評価と性格診断(IAT)(出典:Institution for a Global Society)受験者はスマートフォンから簡単に360度評価の依頼が可能

 こうして、応募者の気質とコンピテンシー、そして要望によってITリテラシーや英語力などのスキルを割り出し、応募者の資質や能力をカルテのように可視化する。それだけでなく、応募者の自社への適正とポテンシャル(成長率)も割り出せるという。採用担当者は、このカルテを判断材料に自社にマッチした人材を探し出すというわけだ。

 一般的に応募者は、書類上で自身の能力や資質を誇張してアピールする傾向があるが、GROW360のようなツールを利用することで真の姿に近い人物像が可視化され、正確な評価ができると期待される。

GROW360で割り出した応募者のコンピテンシー 図3 GROW360で割り出した応募者のコンピテンシー(出典:Institution for a Global Society)

社内のハイパフォーマーをモデルに

 GROW360では、可視化したデータを基に「特定の資質を持っている人」「全てのコンピテンシーが平均点以上の人」といった指針を設定し、自社の求める要件定義に合致した人を判断する。しかし、自社の求める人物像や、それを表す指針が分からない場合あるだろう。そうした場合は、社内のメンバーにGROW360を受験させ、そのデータの結果から自社にマッチした人材かどうかを判断可能だ。例えば、自社で活躍している社員のデータにフラグを付けて機械学習にかけることで、応募者が自社でどのくらいのパフォーマンスを発揮するかを予測してスコア化したりできる。

コラム:その応募者、燃え尽き症候群になるかも?

 GROW360では、その人が持つ気質から、将来的に燃え尽き症候群になりやすいかどうかを計測することもできるという。燃え尽き症候群とは、一定の分野や関心に対して献身的に努力した人が、期待した成果を得られなかった結果、感じる徒労感や欲求不満。慢性的で絶え間ないストレスが持続すると、意欲を無くし、社会的に機能しなくなってしまうこともある。この「燃え尽き症候群」はその人の気質と一定の関係性があると分かっており、気質によって将来的に燃え尽き症候群になりやすいかどうかの傾向を割り出せるという。こうしたデータも採用段階で加味できるようになる。

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