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» 2018年08月15日 10時00分 公開

RPA導入で処理時間が人力の2倍になった……、失敗しないためのRPA開発虎の巻 (1/4)

RPAの活用現場では、想定以上にコストがかかる、ロボットが止まる、他人が作成したロボットをメンテナンスできないといった問題が起きている。課題を解決するために、今からマネできるポイントを紹介しよう。

[土肥正弘,ドキュメント工房]

 働き方改革の決定として注目を集めるRPA(Robotic Process Automation)。最近では、PoC(Proof of Concept、概念実証)を終えて本格導入のフェーズに入る企業も増えてきたが、RPAの知見を十分に持たないために、「思ったようにいかない」という話も聞く。

 RPAを活用する現場では、「想定以上にコストがかかる」「ロボットが止まる」「他人が作成したロボットをメンテナンスできない」といった問題が起きているのだ。時には、人手で30分かかる業務をRPA化したところ、作業に1時間を要するようになり、逆効果になってしまった事例もあるという。

 こうした課題を解決するにはどうしたらよいのか、SHIFTでサービスプロモーション部の菅 仁氏が語った。SHIFTは、年間で4000件にものぼる開発プロジェクトのソフトウェア品質保証およびテストを手掛ける企業だ。その知見をRPAにも適用できるとして、2018年1月にRPAテクノロジーズとの提携を発表し、5月にはRPA診断改修サービス「ROBOPIT!」をスタートさせた。「止まらないRPA」を目指すために必要なノウハウとは何か。

本稿は、2018年6月29日に開催されたセミナー「RPAをスケールさせるための“品質保証”とは?〜RPAロボットの品質保証の在り方、お伝えします〜」(SHIFT主催)の講演内容を基に構成した。

初期投資の回収に200カ月? RPA推進にブレーキをかける要因

 「RPA推進のネックになるのは、RPAの適用範囲を拡大(スケール)した後に、思ったよりもコストがかさみ、効果が小さくなることです」と菅氏は話す。

 要因は、運用や保守の工数だ。ロボットは、業務フローの変更や連携先システムの変更といったことの影響を受けやすく、止まったり、エラーを起こしたり、間違った結果を返したりするため、常にメンテナンスや改修が必要だ。実際にRPAの処理の結果にミスがあり「現場が顧客に提示する金額を誤った」ケースもあり、場合によっては致命的な失敗につながりかねない。

 特に、現場が中心となってRPAの開発などを担う「現場主導型」の企業の場合、RPAの保守や運用までを考慮して開発する視点に欠ける傾向があり、頻繁にロボットが止まる現象が起きるという。保守を考慮せずに作られたロボットは、改修をしようにも、開発担当者以外の人がさわれない「ブラックボックス」と化している場合も多く、継続的な利用が難しい。

 今企業では、上記のような事態が多発していると菅氏は話す。しかし、RPAに特化したエンジニアがユーザー企業内にいるケースは少なく、開発担当者は新しいロボット開発に追われ、保守に当てられる時間も少ない。結局、工数が上昇するにつれて、保守や運用を外注せざるを得ず、全体のコストも跳ね上がるという。

 一方、こうした事態を懸念して、トップダウンで大規模導入を決め、具体的な開発を外部ベンダーに委託するパターンのアプローチを採用する企業も多い。しかしこの場合は初期コストが膨大になる危険性をはらむと菅氏は警告する。

 「導入時に投資をして慎重にルール作りをしながらプロジェクトを遂行するため、後戻りが必要になっても簡単にはいかない『重厚長大』なプロジェクトになる傾向にあります」(菅氏)

 菅氏の経験では、3年間で1000人分の労働時間削減を目指したものの、実際には300人分の削減にしかならないことが分かった事例や、通常のシステム開発では開発者単価が約120万円のところ、RPA開発で150万円もの必要が必要になったという事例、仕様書作成工数に開発の70%を費やした事例、人手で30分かかる業務をRPA化したところ、作業に1時間を要するようになり、逆効果になってしまった事例などがあるという。RPA導入を通常のシステム開発と同等に考えた結果、初期コストが上昇するという「失敗事例」は枚挙にいとまがなく、当初期費用を回収するに当たって、当初の計算では4カ月と予想していたものが、最終的に200カ月と診断されたケースもあった。

RPA導入の2つのパターンと拡大期の問題点、コスト傾向 図1 RPA導入の2つのパターンと拡大期の問題点、コスト傾向

 こうした先人の苦い経験を踏まえれば、RPAはまず導入して使ってみることが重要だと菅氏は話す。しかし同時に、本格的にRPAの適用範囲を広げる際には、「RPAの保守や運用に気を配り、ロボットの品質を高めるという視点が必要です。運用コストの上昇も抑えられます」と説明した。

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