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» 2018年08月03日 10時00分 公開

中小企業「Office 365上位プランで働き方改革」を“実質格安”で利用する方法中小企業の働き方改革 助成金制度活用術

2020年4月からは中小規模の企業であっても「働き方改革」の実施が必須になる見込みだ。予算が限られる中で対策するからには、助成金制度の活用も検討しておきたい。利用方法を解説する。

[宮川麻里,Microsoft MVP for Office Apps; Services]

 2018年6月29日、「働き方改革関連法」が参議院本会議にて可決成立しました。この法律の重要なポイントの一つに「長時間労働の是正」が挙げられます。長時間労働は原則として「月45時間、年360時間」が上限値とされました。繁忙期など、やむを得えず残業を行う場合には、6カ月までは45時間を超える残業が認められますが、年間では720時間が上限値です。

 働き手にとっては長時間労働が是正されるのは喜ばしいことですが、雇用主側からすれば、この規制を順守しなければ罰則の対象になりますから、十分に配慮する必要があります。特に中小企業の場合は、2020年4月1日から時間外労働の上限規制が開始されるため、早急な対策が必要なのです。

Office 365で働き方改革、「でも、お高いんでしょう?」

 働き方改革、中でも長時間労働を見直すためにはテレワークのように、限られた時間の中で業務を効率的に行う仕組みが必要になります。そのために「使える」と期待されているのが、クラウドサービスです。

 特に、皆さんご存じのように、Office 365のようなSaaS型のオフィスツールはグループウェアとしての機能も併せ持っており、遠隔での共同作業なども得意とすることからテレワークにも活用できる点が注目されています。しかし、便利な機能を利用しようと思うと、上位プランが必要になることもあるため、IT予算に余裕がなければ活用しにくい点が中小企業にとっては大きな課題でした。

 こうした働き方改革のためにサービスを新規で利用したり、プランをアップグレードしたりする際に、公的な助成金を活用できることをご存じでしょうか。うまく活用することで、IT予算が少ない中小企業でも便利な業務環境を手に入れられます。

 助成金そのものはOffice 365に限定したものではありませんが、本稿では以降、Office 365を活用するケースを想定して解説を進めます。

 「ツール導入で働き方改革」といってもイメージが付かないかもしれません。公開されている事例から、具体的な効果がどんなものかを見てみましょう。

Office 365を使うなら試したいコミュニケーションツール

 在宅勤務などのテレワーク制度を実施する場合、課題となるのが、社内で当たり前のように行われていたコミュニケーションや伝達が欠落しがちになる点です。「ちょっとした質問」に必要な気軽な会話の場がなくなることで、相談の機会が減り、テレワーク中の社員が一人で問題を抱え込んでしまう懸念があるのです。「電話やメールで済むのでは?」と思いがちですが、日々の細かな業務内容を分かり合うには、「その場での会話」「同じものを見て議論する」といった、スピーディで気軽な情報交換が重要です。そこで、もしOffice 365を利用するならば、ぜひとも試しておきたい機能があります。

 「Microsoft Teams」のチャット機能を利用すれば、メールよりスピーディにコミュニケーションをとれるようになります。またチームでの情報共有やドキュメントの同時編集を行いながらオンライン会議を行う道具としても活用できます。

 テレワークの欠点ともいえる、「その場での会話」「同じものを見て議論する」といったコミュニケーションの代替策として利用できるわけです。

図1 Microsoft Teamsでドキュメントを確認しながらチャットで意見交換

 さらにOffice 365のサービスの1つ「My Analytics」を利用すればユーザーの就労時間や業務時間外に行ったメール送受信の履歴、会議への参加、残業などを自動で分析できるようになります。これを使えば勤怠入力や日報のような手間を掛けずに、一日の業務を可視化できるようになります。ユーザー一人一人に業務効率化のヒントを与えるサービスと言ってもよいでしょう(図2)。

図2 My Analyticsによりメール操作にどれくらいの時間をとられているかが可視化される

 なお、セキュリティ機能を備えた製品版のMicrosoft Teamsを利用するにはOffice 365の「セットプラン契約」が必要ですし、My Analyticsを使うには「Office 365 Enterprise E5」プランの契約が必要です(*)。

 「あぁ、やっぱり上位プランか。うちは無理だな」と思うのは少し性急です。「うちは無理だな」と思う人のための、働き方改革の公的支援制度があるからです。


* 2018年7月中旬から提供されている簡易版「Microsoft Teams フリーバージョン」はOffice365契約がなくても利用可能ですが、テレワーク業務で利用するならばセキュリティ面の対策が施された製品版の利用がおすすめです。



補助金と助成金って、何が違うの?

 いろいろと便利な使い方が期待できる「Office 365」ですが、幾つかの機能はセットプランや上位プランでのみ提供されています。

 ITツールにそう大きな予算を割けない中小企業にとって、Office 365のようなクラウド型のツールで業務環境を改善するのは、効率のよい働き方改革の方策だといえますが、あれもこれもと機能を欲張ると、費用負担が大きくなってしまいます。その結果、コスト負担を削減するために効率を犠牲にするのは非常にもったいないことです。

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