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成熟したネットワーク機器市場が2017年に急伸したワケすご腕アナリスト市場予測(4/5 ページ)

» 2018年07月25日 10時00分 公開
[草野賢一IDC Japan]

本格化する「ワイヤレスファースト」な動き

 企業におけるアクセスネットワークの考え方は、今やワイヤレス環境を大前提として考えていくことが求められており、これまでイーサネットスイッチを中心に扱ってきたベンダーも、何らかの形で無線ソリューションを取り込んでいくことが必要になってくる。

 実際には、海外のスイッチベンダーは有線無線それぞれのポートフォリオをそろえて展開しているケースが多い。ただし、日本のベンダーでは無線に関するソリューションを自社で展開していないところもあるため、何らかのワイヤレスソリューションを取り込んでいくことが、今後は重要になってくるだろう。

 なお無線LANについては、現状802.11ac Wave2のチップセットを搭載したAPが最新のソリューションになるが、既に次世代規格として注目されるIEEE 802.11axが大きな話題となっており、現在規格が策定されているさなかだ。

 2018年度のうちにはIEEE802.11ax対応のチップが登場する予定となるなど、新たな規格も含めて目が離せないところだ。IDCの予想では、2020年あたりから実際の導入が進み、2022年にはAP出荷台数の約38%がIEEE802.11ax搭載の製品になってくると予測している。

図2 国内企業向け無線LANアクセスポイント市場 規格別 出荷台数(2011年〜2022年)

無線における品質改善の取り組み

 有線と違って無線の通信品質は見えづらいこともあり、その品質改善に向けた取り組みは各ベンダーによってさまざまな形で取り組まれている。実際の無線環境は、多くの家庭でも利用されていることで、至るところに干渉源が存在しているような状況になっている。だからこそ、品質を高めるための機能は、これからも積極的に提供されていくことになるだろう。

 例えばHPEでは、南アフリカのスタートアップであるCape Networksを2018年に買収しているが、これはユーザーエクスペリエンスを最適化するべく、クライアント端末の視点から無線LANの品質をモニタリングする仕組みとなっており、まさに品質改善に向けた仕組みの1つに位置付けられる。

 またアライドテレシスは、複数台のAPを自律的に制御して出力やチャンネルを自動で最適化するAWC(Autonomous Wave Control)技術とイスラエルのExtricom社から獲得した全端末を単一チャンネルに収容する技術を融合したソリューションにより、通信品質を高めている。

 ヤマハでも、1台のAPにおける同時接続台数を高めるべく、トライバンド対応APを提供するなど、限られた無線帯域を有効活用しながら通信品質を高めていくためのアプローチに取り組んでいる。海外ベンダーはもちろん、国内ベンダーも品質改善に向けた環境づくりに余念がない。

シャーシ型からボックス型へと広がるバリエーション

 これまでコアスイッチは、大型のシャーシにて拡張を行うものが一般的だったが、ここ数年はボックス型のスイッチをスタック構成で接続し、コアスイッチの代わりとして利用するケースが浸透しつつあるようだ。コスト的にも安価に構築できるだけでなく、拡張性も比較的容易な構成になる。

 もちろん、装置の信頼性の高さや必要なポートだけ増やしていけるというシャーシ本来のメリットを評価して選択するケースもあり、どちらが最適なのかは企業の置かれた環境にもよる。シャーシを提供してきたベンダーも、スタック可能なボックスタイプの製品をラインアップに加えており、どちらのニーズにも対応できる環境を用意している状況にある。

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