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» 2018年07月02日 10時00分 公開

音声のクラウド化で進む「脱固定電話」「脱PBX」の実態IT導入完全ガイド(4/4 ページ)

[酒井洋和,てんとまる社]
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利用する網によって異なるクラウドPBXサービス

 クラウドPBXサービスがどのようにサービスを展開しているのか、その具体的な例を見てみたい。1つがインターネット網を経由したVoIPによるサービス、そしてもう1つが携帯電話網を利用したサービスだ。

インターネット網を経由したVoIPの利用

 多くのサービス事業者が提供しているのが、インターネット網を利用したVoIPによるクラウドPBXサービスだ。社内から使う場合は、Wi-Fiを経由して社内のLANに音声パケットを流してインターネット経由でサービス事業者が用意するPBXにアクセス、そこから外線であればPSTN網へ、内線であればインターネットを経由して拠点の電話にパケットを流していく形になる。

 社外にいる場合は、スマートフォンが行うパケット通信でサービス事業者のPBXにアクセスすることになり、PBXから先は先ほどと同様の動きになる。なお、社内から050番号での外線発信であれば不要だが、0ABJ番号での外線発信が必要な場合は、拠点ごとに音声ゲートウェイの設置が必要になる。

利用イメージ 図2 NTTコミュニケーションズの「Arcstar Smart PBX」の場合、インターネット網以外に閉域網として「Arcstar Universal One」が利用できる(出典:NTTコミュニケーションズ)

 サービスの中は、ベストエフォート型のインターネット網とともに、閉域網を用意してより品質の安定した環境で利用できるように工夫されたものもある。また、専用ダイヤラーの簡単な操作で頭に数字が自動的に付加され、データ通信のネットワークから音声品質の良い携帯電話網へ切り替えることができるなど、さまざまな仕掛けで差別化を行っている。

携帯電話網を利用したサービス

 VoIPではなく、携帯電話網を利用したクラウドPBXサービスもある。この場合、全ての通信はサービス事業者が提供するPBXが起点となり、キャリアが提供するかけ放題サービス内で料金を納めてしまう方法だ。

 具体的には、かけ放題サービスを契約している場合、スマートフォンからサービス事業者のPBXに発信し、そこから外部の電話番号をコールする「コールフォワード方式」になる。かけ放題に入っていない場合は、最初のコールでサービス事業者のPBXに対してパケット網で電話番号を送り付け、その番号を受け取ったPBXが発信元のスマートフォンと発信先に対して同時にコールを鳴らすという「コールバック方式」という方法を採用している。コールフォワードの場合、スマーフォンのかけ放題料金の範囲でコストをおさえることになり、コールバック方式の場合はスマートフォン側はほとんど料金が発生しない代わりに、会社側が通話料を負担することになる。

コールフォワード構成 図3 コールフォワード構成

コールフォワード構成

  1. uniConnect システム(PBX)に相手先の電話番号をパケットで送信
  2. スマートフォンからuniConnect システムへ発信
  3. uniConnect システムから相手先に発信

コールバック構成 図4 コールバック構成

コールバック構成

(1)相手先の電話番号をパケットで送信

(2)uniConnect システムから発信元であるスマートフォンに着信

(3)着信に応答すると、相手先へ発信


 このサービスの場合、携帯電話網を利用することになるため、社内にWi-Fi設置は不要となり、音声ゲートウェイの設置も不要だ。もし固定電話が必要な場合は、オープンVPNに対応した推奨のIP電話機を利用すれば、同様に音声ゲートウェイ設置が不要になる。

 なお、どの方式でも既存の電話番号を維持した形でサービスが利用できるものの、番号ポータビリティなどに対応していない電話番号を利用している場合は同じ番号での移行が難しいことを理解しておこう。

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