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» 2018年06月20日 10時00分 公開

情シス不足の中堅中小企業に効く、RPA導入のポイント(3/4 ページ)

[土肥正弘,ドキュメント工房]

支援を通してわかった導入時のポイント

 若尾氏は支援サービスの経験を基に、導入時のポイントを次のように語った。順番に説明したい。

RPA導入時のポイント 図4 RPA導入時のポイント

 まず重要なのは、パイロット業務の選定だ。若尾氏は、「反復作業になっている業務」「一部判断が必要でも、それをルーツに置き換えられる業務」を選ぶことを推奨する。また、現場の担当者が改善したい業務を選ぶこともポイントだと話した。そうしたニーズをくみ取ることで、現場がRPA導入を自分ごととして捉え、業務改善する機運が生まれる。

 ただし、パイロット業務に成功した後は、局所最適にならないよう、適用範囲を拡大していかなければならない。RPA導入には一定の固定費やライセンス費がかかるので、1業務のためにRPAを導入しただけでは、費用対効果が薄まってしまう可能性があるからだ。若尾氏によれば、「対象業務の拡大は必ずROIの観点から行う」ことを強調した。それが可能なベンダーやツールを選択することも大切だ。

 「完全性を求めない」ということも重要だ。ロボットはシナリオがあればミスをしないが、シナリオに穴があれば必ずミスをし、ミスを拡大し続ける。慣れない新入社員を一人前に育てるように、ロボットもトライ&エラーを繰り返して成長させる必要がある。軌道修正やノウハウ蓄積を続けることにより、RPAの内製化に成功すると若尾氏は話した。

 またロボットの運用体制の確立もポイントとなる。関係者全員がRPA導入・運用を自分ごととして考え、生産性を上げるために何ができるかを考える組織文化を醸成することが大事だ。現場も、IT部門も一緒に考えることで、内部ノウハウの蓄積と評価スキル向上ができ、投資効果を高めるロボット作成・運用ができるようになる。その過程で管理担当者やロボット管理チームなどを立ち上げるのが理想だ。また、導入検討時から自社での自立運用をイメージし、徐々に社内でルールを作ることも必要になる。

 講演を通して、若尾氏は、RPAを導入しただけで満足するのではなく、RPAを使ってビジネスの効率化や業務改善を進められる組織の確立が成功への道だと強調した。

RPAの利用拡大・拡張の流れ

 同社の支援サービスでは、前述した「段階的に拡大するタイプのアプローチ」を採用する。その流れをより具体的に説明しよう。図3に見るように全体のプロセスを「導入フェーズ」「定着化フェーズ」「高度利用」という段階で考えるとよい。最初にトライアルを行い、類似した業務にロボットを適用して効果検証を行うPOV(価値実証)を経て、本番稼働に移行する。1つまたはいくつかの本番業務で効果が得られれば、その次はRPAを全社に、あるいはグループ会社や取引先へと利用を拡大し、よりROIを高める。また紙ベースの業務の自動化や、AI、IoTなどの技術を取り入れた業務効率化=高度活用に拡張する流れもある。ちなみに、同社が支援するのは、トライアル、POV、本番稼働のフェーズだ。

RPAの利用拡大・拡張の流れ 図5 RPAの利用拡大・拡張の流れ

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