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» 2018年06月04日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:給与査定の道具から離職率低下の切り札に? 人事評価システムとエンゲージメントの深い関係 (3/3)

[酒井洋和,てんとまる社]
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人事評価を企業に根付かせるための勘所

 ここで、人事評価ソリューションを検討する際に注意しておきたいこと、また実際にソリューション導入を行う際に意識すべき視点について見ていきたい。

3つのソリューション群での最適解を見つける

 まず人事評価の仕組みとして、大きく3つの領域にソリューション群が存在していることを理解しておきたい。1つ目が、基幹システムとしての人事システム周辺のソリューションで、詳細な設定によって自社が運用する人事評価の仕組みが構築できるもの。そして2つ目が、クラウドサービスを中心に、エンドユーザーでもドラッグ&ドロップなどの操作だけで自社の人事評価の仕組みが構築できるもの。そして3つ目が、評価システムとしてのナレッジを備えた、成功体験に基づいた豊富なテンプレートが用意されており、それらを組み合わせて自社の人事評価システムが構築できるものだ。市場に展開している人事評価のソリューションは、これら3つに大きく大別できる。

 これら3つの選び分けだが、おそらく基幹システム連携を重視するのであれば基幹システム系の人事評価システムが最適だろうし、すでに自社の人事評価の仕組みが存在していて、今まで運用してきたExcelなどを新たな基盤に乗せ換えて情報共有や評価データベースとして情報活用したいなら2つ目のクラウドサービス、そして人事評価の仕組みが十分になく、コンサルティングも含めて一から構築していく段階であれば、豊富なテンプレートが備わった3つ目のソリューションが適しているだろう。

柔軟性とシステム改修のバランスに注意

 今の人事評価に求められるのは、単に給与を決める基準を導き出すだけでなく、納得感や信頼感が醸成できる仕組みであること。そのため、時代の変化に応じて新たな評価制度も取り入れていくなど柔軟性のある運用が可能な基盤が必要だ。その柔軟性を確保するためには、運用するシステムについての定期的な改変が必要になる場面も当然出てくる。凝り固まった仕組みは避け、設定で柔軟にカスタイズできるだけでなく、ドラッグ&ドロップで画面も含めて変更できるようなものが便利だろう。

 実際のシステム改修については、できれば運用主体となる人事部門が自ら改修できるような仕組みであることが望ましい。従業員の評価という、非常にセンシティブな情報を扱うことになるため、できれば情報システム部門など他部門に全ての情報は開示したくないのが本音のはずだ。中小企業の中には、情報システム部門の専任者がいないところも多く、システムに詳しい人材しか改修できない仕組みは避けたいところだ。

評価の一部公開は必要だが、詳細に権限設定できるものが理想

 人事評価のプロセスにおいては、事業に対する目標設定やコンピテンシーなどの自己評価を行う機会があり、当然ながら人事評価の仕組みを人事部や経営層以外の従業員に公開する場面も出てくるだろう。また、上司によって行われた評価を該当者に公開していくことも重要で、しっかりと納得のある評価がなされているかどうかを従業員に見せていくことはエンゲージメントを高めていくためにも大切だろう。

 そのため、機能はもちろん、項目ごとに詳細な権限設定が可能な仕組みであれば、必要な部分だけを開示でき、評価する側の情報は安全に管理できるようになる。権限設定の粒度や深度についてもしっかりと確認しておきたい。

使い勝手にこだわるのはどこか?

 人事評価の仕組みは、結局のところマネジメント層を中心に運用していくものであるため、当然ながらマネジメント層が使いやすい仕組みであることが大前提だ。従業員の使いやすさにこだわるよりも、評価をベースに次の育成プランが計画できたり、査定のシミュレーションが容易にできたりなど、評価する側の使いやすさを追求したい。その意味でも、機能ばかりが豊富に用意され、それらを全て設定しなければ運用できないようなツールは運用が続かない可能性もある。機能として備わっているに越したことはないが、不要な機能はオフにできるようなものが望ましい。

 なお、人事評価の仕組みをしっかりと運用に乗せるためには、トップダウンの決断はもちろん、日々の評価プロセスの中でトップがしっかりと内容を見ていることが現場にも伝わることが重要だ。トップが従業員の評価プロセスを見ていることで、従業員の声が直接トップにも伝わりやすくなり、また、「経営層が受け止めている」ということが従業員に伝わるだけでも、会社に対するエンゲージメントは高まっていくはずだ。

BPOも視野に入れたい中小企業の事情

 人事評価の仕組みは、大手企業ほど導入が進み、中小になればなるほど十分な基盤が整備されていないケースが多く、特に人事の専任者が不在の中小企業では、しっかりとしたコンサルティングなくして人事評価の仕組みを運用することは難しい。だからこそ、既存業務の分析から実際の構築、セミナーや研修を含めた導入、そして定期的な運用フォローまでの一連の業務プロセスが利用できる仕組みが、ある意味必要不可欠となる。もっと言えば、人事評価の仕組みを運用するだけでも人手がかかるため、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスとして人事評価の仕組みをアウトソースするという選択肢も視野に入れ、ソリューションを検討しておきたい。

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