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SANからの解放、ハイパーコンバージドインフラストラクチャの基礎知識IT導入完全ガイド(1/6 ページ)

サーバ市場で躍進を続けるHCI。多くの企業から注目されるには理由がある。基本を振り返りながら、特徴を徹底解説する。

» 2018年02月05日 10時00分 公開
[酒井洋和てんとまる社]

 サーバ市場で大きく躍進を続けるハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)。SANをはじめとした共有ストレージやSANスイッチ、サーバによる3Tier構成とは異なる仕組みとして注目され、今では多くの企業がインフラ選定時の重要な選択肢の1つとして検討する機会が増えている。HCIの基本を振り返りながら特徴について紹介しよう。

超集約型の基盤が求められたワケ

 現在サーバの仮想化が一般的になり、多くの企業システムで仮想環境が利用されている。その際のハードウェア構成は、CPUやメモリが実装されたサーバとともに、共有ストレージアレイをSAN(Storage Area Network)で接続するためのSANスイッチを用いた、いわゆる3Tier構成が一般的だ。

 これは現状でも多くの企業で利用されているが、ビジネス変化の激しい今の時代にあって、さまざまな課題が顕在化している。確かに一度動き出せば安定して稼働し続けることが可能ではあるものの、SANスイッチや共有ストレージを含めて幅広い専門知識が運用管理者に求められるだけでなく、複数の製品を組み合わせていることでファームウェアアップデートを行う際の検証コストや拡張に向けた検証作業も多くの時間が必要になるなど、変化に対応しやすい柔軟なシステム運用が可能な状況には至っていなかった。

 そこで登場したのが、垂直統合型インフラであるコンバージドインフラストラクチャだ。提供するベンダーが組み合わせを検証したうえでパッケージングされた製品であり、機器ごとの相性など導入時に確認すべき複雑なプロセスが不要になるだけでなく、統合されたインタフェースから運用管理することが可能になる。機器構成は3Tier同様ではあるものの、従来に比べると導入までの負担は大きく軽減できる仕組みとして注目された。

 しかし拡張性という意味では、ストレージのパフォーマンスがコントローラーの性能に大きく依存するだけでなく、ラック単位での導入となることでスペース効率や空調面での課題は残ったまま。また、管理画面が統合されても、結果として、サーバや共有ストレージ、SANスイッチは個別に管理しなければならず、メンテナンスについても十分に計画する必要があるなど、運用上の課題が全て解決できるわけではなかった。そこでこのコンバージドインフラにより柔軟性を持たせる仕組みとして登場したのがHCIだ。

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