メディア

行動追跡、可視化、画像認識技術とマーケティングの関係IT導入完全ガイド(2/4 ページ)

» 2018年01月15日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

画像分析エンジンを利用したマーケティング分析

 特定の人物を特定する目的で使われる顔認証とは別に、撮影した画像や映像から人の行動や動態をモニタリングして分析する技術も進んでいる。こちらは人物を統計対象として扱い、分析の時にも個人情報と結び付かないように配慮した形で実用化されている。

 例えば、映像に映り込んでいるエリア内の人数、その場所の混雑度を割り出す分析エンジンは、既に多くのネットワークカメラベンダーが提供している。また、店舗に来店した顧客の映像から、一人一人の顔を認識して「性別推定」「年齢推定」を行う分析エンジンも開発されている。これらを組み合わせると、ある特定のエリアにどれだけ人が集まっているか、通過したか、その人々の年齢層はどのくらいか、男性が多いか女性が多いか、混雑の時間帯別の変化はどうなっているか、立ち止まって滞留しているところはどこかなど、人物のクラスタリングや動態分析ができるわけだ。

 これらの分析エンジンには、ディープラーニングをはじめとしたAI(人工知能)が応用されており、多くの人の画像を対象にした機械学習で判別精度を向上させたモデルが利用されている。画像認識とその判別、グループ化はディープラーニングと非常に相性が良く、多くの事例がある。

多数の人物の店舗内行動をトラッキングして行動分析

 例えば店内のさまざまな箇所にカメラが設置してある場合なら、特定の人物を自動認識し、入店から店内回遊、立ち止まり(滞留)、商品検討、商品購入までの一連の行動を追跡できる。その人物の年齢、性別も推定可能であり、購入商品の詳細は、POSデータと時間で付き合わせれば把握できる。もちろん多数の人物を同時に追跡して行動を記録することも可能だ。

 これらの情報が自動かつ迅速に入手できると、商品の拡充や入れ替え、POPの掲示、商品棚のレイアウト変更、新商品のテストマーケティング、キャンペーン実施、販売施策の効果検証など、さまざまな施策を最適化できるわけだ。

小売店舗での人物行動分析サービスのイメージ 図3 小売店舗での人物行動分析サービスのイメージ(出典:NEC)
人物行動分析サービスでの分析結果可視化の例 図4 人物行動分析サービスでの分析結果可視化の例(出典:NEC)

 なお、こうした分析を行う場合には、来店者などのプライバシーを保護する工夫が必要だ。個人ポイントカードなどからの個人情報と行動データや購買データが結び付けられることのないようにするとともに、来店者などにはカメラで撮影していることと、その映像がどのように使用されるかについて、店内掲示などの方法で告知することが必須である。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

製品カタログや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。