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» 2018年01月07日 10時00分 公開

AWS移行事例 バンダイナムコグループの基幹業務クラウド移行はこうして実現した (1/3)

わずか2日でグループ10社の基幹系業務システムをクラウドに移行完了。バンダイナムコグループが実践した「リフトアンドシフト」。きっかけは保守切れ対応への疑問だった。

[唐沢正和,ヒューマン・データ・ラボラトリ]

やってみて分かった「リフトアンドシフト」

 バンダイナムコグループが、国内グループ10社の基幹系業務システム全体をAmazon Web Services(AWS)に完全移行した。2017年8月、わずか数日の間に全てのシステムをAWSに移行できたという。既存のオンプレミスシステムを、まずはクラウドに置き換えていく「リフトアンドシフト」を実践したかたちだ。プロジェクト開始は2016年10月、2017年5月初旬には環境構築を済ませ、同年8月には本番環境、DRサイトともに完全にAWS以降をし、本稼働させている。今後はこの成果を、次のIT投資――RPAの導入、会計処理の自動化、契約書管理の効率化など――につなげる計画があるという。

 この情報は2017年12月に開催された「cloudpack DAYS」(アイレット主催)の中で披露されたもの。本稿ではその内容を紹介する。

「保守切れ」に対応することは本当に業務なのか?

 バンダイナムコホールディングスを中核とするバンダイナムコグループは、傘下に玩具メーカーであるバンダイの他、オンラインゲーム開発、映像コンテンツ制作など、多数の事業会社を傘下に持つ。このバンダイナムコグループにおいて、グループ内のガバナンス強化と経営資源の最適化を目的に管理本部機能を担う組織が、バンダイナムコビジネスアークである。

 同社はグループ全体に「シェアードサービス」として、総務、人事、経理、情報システム部の機能を提供する。中でも情報システム部門は、グループ全体のITインフラ基盤からPCサプライに至る情報システム全般を担う部門として位置付けられている。

 そもそもの発端は、保守切れ対応業務だったという。

 冒頭で記した通り、グループ全体のIT基盤はバンダイナムコビジネスアークが担っているが、各システムで調達した機器などに保守切れが発生するたびに、個別にアセスメントや選定が必要となり、運営上の大きな負担となっていたのだ。また、クラウドやモバイルの普及で企業情報システムを取り巻く環境が大きく変わるなか、情報システム部門の役割も問われるようになっていた。

 こうした状況の中で「自分たちのなすべき仕事は何か」を含め、将来のITインフラ基盤はどうあるべきかを真剣に考えるようになったという。

 「広い視野で今後のIT基盤を考えるなかで、クラウドに全面移行するという選択肢がでてきました。コストについても、単に移行コストを下げるという視点だけでなく、ネットワークやDRのコスト、事業会社の要請、そこで求められる対応なども含めて、将来的にどうなるかを総合的に検討しました。複数のクラウドを検討し、最終的に選んだのがAWSです」(バンダイナムコビジネスアークの情報システム部 ITインフラ戦略セクションデピュティゼネラルマネージャー森田繁氏)

 最近では金融機関が勘定系のシステムを全面的にクラウド移行するなどの事例が注目を集めているが、バンダイナムコのようにほぼ全ての基幹業務システムを短期間に一気に刷新するケースはまだ決して多くはない。

 基幹系システムのクラウド移行事例の多くは、システムのリプレースにあわせて段階的に移行するケースや、検証環境のみを対象としたケースだ。人事給与などの一部機能をクラウドに移行、それ以外の基幹業務に関わるシステムだけはクラウド移行の対象外としている事例もまだまだ多い。

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