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» 2017年08月24日 10時00分 公開

イベントレポートアーカイブ:運搬ロボ、トラックシェアリング……日本の物流はAmazonを超えるか? (1/3)

大和ハウス工業が建設中の巨大物流拠点DPL流山ではトータルな物流ソリューションが提供される予定だ。荷物運搬ロボットやトラックシェアリング、製品在庫の一括管理…新しい技術や概念が物流の在り方を変える。

[土肥正弘,キーマンズネット]

 大和ハウス工業が建設中の巨大物流拠点「DPL流山」(2018年3月竣工予定)には、同社パートナー企業が多数参画し、トータルな物流ソリューションが提供される予定だ。「intelligent Logisticsの実現に向けた大和ハウス工業の取り組み」セミナーではそのうち3社のそれぞれ特徴的な取り組みが発表された。

物流の既存ビジネスモデルは数年のうちにプラットフォーマーが変革する

宮田啓友氏 宮田啓友氏

 GROUNDは2017年で3期目を迎える新しい会社だが、宮田啓友社長はアスクルのロジスティクス部門長、楽天の執行役員物流事業長などを歴任した物流のスペシャリストだ。同社は自動搬送ロボット「BUTLER(バトラー)」の販売・導入・保守サービスやロボット制御ソフトウェアの企画・設計・開発・販売・導入・保守サービスなどの事業を行っている。

 DPL流山には庫内オペレーションを担う物流ロボット(自動搬送ロボット)としてBUTLERが実装される。BUTLERは、アマゾンが利用している物流ロボット「キバ」と機能的に類似しているが、宮田氏の考えによれば前者はソフトウェアによる制御部分に優れており、最短時間でのマルチオーダーピッキング計算や、過去のオーダーデータから出荷頻度の高い商品をステーション近くに配置することが可能だ。同社が目指すのはインテリジェントロジスティクス、すなわち最新テクノロジーを使って、高度でシームレスなクラウド型物流プラットフォームを創造することだ。そして、BUTLERはその構想の重要な一部を担う製品だとしている。

図1 物流ロボットBUTLERの外観 図1 物流ロボットBUTLERの外観。可動式棚=MSUの下に潜り込んで棚を作業者のステーションまで運搬したり、効率的に作業できる位置に棚を配置し直したりする。

 では、このインテリジェントロジスティクスはどのような考え方に基づいているのだろうか。宮田氏は「AirbnbやUberなどの各業界のディスラプターが既存市場を塗り替えた。テクノロジーの進展がソーシャルエコノミーの形成を促し、各産業でプラットフォーマーが台頭している」と現状を分析する。

 「プラットフォーマーとは、関係する企業やグループ、個人を『場=プラットフォーム』に乗せることで、新しい事業のエコシステム(生態系)の構築を仕掛けるものたちのこと。この15年の間に世界の企業の時価総額ランキングの上位企業はエネルギーや銀行からプラットフォーマーに変わった。物流の世界でも同じことが数年のうちに起きる」(宮田氏)

 確かに2016年の時価総額トップ5はアップル、グーグル、マイクロソフト、アマゾン、Facebookと全てプラットフォーマーだ。アマゾンはロボットを4万5000台投入して物流プラットフォームを運用し、ファーウェイとドイツのDHLは国と業界を超えて提携し、IoT技術などの接続性を利用して物流を支援するコネクテッドロジステックに多額の投資をしている。グローバルなプラットフォーマーは物流分野に相当の覚悟を持って投資している。

 「もはやこの動きに1企業では戦うのは難しい。この認識のもとに3年前に会社を起業し、インテリジェントロジスティックプラットフォーム構築を目指している。複数企業が1つのシェアリング可能なプラットフォーム上で物流運営をすることで自ずとリターンが増していき、より最適な環境が実現される。つまり物流が増えれば増えるほど効率化する物流環境ができ上がる」(宮田氏)

 そして、宮田氏は「もうリソース・資産を買う時代ではない」と断言し、インテリジェントロジスティックの発展に「IoT化」「シェアリング」「ビジュアライゼーション」の3要素が重要だと指摘した。具体的にそれぞれの要素に求められるものは何か。

 IoTにおいては、IoT機器からデータを吸い上げ解析して改善につなげることが求められる。多くのデータを入手することで、データを解析するAIにより正確な判断を促し、オペレーションの改善サイクルを高速化させるのだ。またシェアリングの要素では、例えば施設内を容易に移動できる物流ロボットを各企業が共有し、融通し合うことが必要になってくる。

 ビジュアライゼーションでは、従来のようにポイントごとのデータを掲示板などで見せるだけでなく、目的ごとにパーソナライズしてログを解析し、可視化することが求められるという。

 「物流のプラットフォーム化はこの3年のうちに大きく進展する。私たちはBUTLERと、物流リソース最適化AIソフトウェア『ADyAS』をDPL流山に実装する。これは物流エコシステムを実現する世界初のケースとなる」と宮田氏は刺激的な講演を締めくくった。

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