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» 2017年07月27日 10時00分 公開

「あの社員辞めそう」「この顧客は上確度」 文章からあぶり出すAI「KIBIT」(3/3 ページ)

[溝田萌里,キーマンズネット]
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人事・労務 離職の予兆、ハラスメントの可能性を検出

 社員の離職やハラスメントの防止、組織診断にも、KIBIT Knowledge Probeが貢献するとFRONTEOは説明する。

 例えば、KIBITによって従業員の業務メールを分析し、その内容から社員の不調を示すようなメールを自動抽出させることで早期のケアが可能となる。「『つらい』や『ミス』といった言葉の並びから、不安を抱えた社員のメールが抽出されるので、人事は離職などのリスクが高い人を早期に発見することができる。結果的に離職率も下がるだろう」とFRONTEOは説明する。

営業支援・プロジェクト管理 日報、メール分析でチャンスを発見

 営業支援においては、日報を分析し、受注のチャンスや失注のリスクを見つけ出すという活用方法がある。KIBIT Knowledge Probe上で営業マネジャーの暗黙知を学習させた後、大量に飛び交う取引先とのメールや日報から、受注に発展しそうな情報や失注のリスクの予兆を抽出するのだ。これによって営業マネジャーは重要なメールや日報からチェックしていけるため、業務の効率化に加えて、顧客の満足度向上にもつながるとしている。

 同様にしてKIBIT Knowledge Probeはプロジェクト管理のシーンでも活用が期待される。社内外で取り交わされたメールや議事録の内容を分析し、遅延やトラブルの予兆を発見すれば円滑なプロジェクトマネジメントを実現できるという。

三菱重工は技術調査の時間50%減を実現

 上記で紹介したKIBIT Knowledge Probeは、実際に企業での導入も進んでいるとFRONTEOは話す。FRONTEOが発表した導入事例を見ていこう。三菱重工のシェアードテクノロジー部門マーケティング&イノベーション本部では、KIBIT Knowledge Probeを技術調査に活用することで、情報収集の時間を半分にまで削減した。

 同本部では、経営陣に提出する市場調査レポートの作成において、国内外100以上のニュースサイトから週次で数千件の記事を確認し、人力でピックアップしつつ、最終的に100件ほどまで絞り込むという作業をしていた。そのため、いかに効率良く情報を収集するかという問題や、熟練のマーケターのノウハウに依存するという課題があった。

 そこで、KIBIT Knowledge Probeを導入したところ、必要な情報を抽出するためにかかる時間が半減したという。KIBITには、事前に「あり」と「なし」に分けたニュース記事のテキストを学習させた。幅広いテーマを扱うマーケティングにおいては、関連する情報をいかにリンクさせるかということがポイントとなったという。これについては、「環境」や「エネルギー」などテーマごとに学習データを用意して対応した。こうして分析を繰り返しながら精度を高めたところ、最終的にスコア上位に表示される30%の記事を見れば、欲しい情報を入手できるようになったとしている。

 この結果、KIBITが分類したデータを基にして、マーケターの労力をより上位の仕事に振り向けることができるようになったため、レポートの質も向上したとFRONTEOは発表している。

メンタルヘルスの見えないリスクをアラート、重篤化を回避

 FRONTEO発表の資料によれば、精神疾患のある人々の就労支援事業を展開するLITALICOは、KIBIT Knowledge Probeによって、利用者の病状悪化につながる予兆を発見し、事前に対策を打つことができたという。

 同社の事業では、精神疾患を抱えた就労者に対し、メンタル不調による離職や症状の重篤化のリスクを防ぐことが重要だという。そのため、最大のリスクである自殺のリスクを5段階で評価し、リスク段階が2以上は各拠点のスタッフが報告を上げるという仕組みをとっていた。しかし、この方法では各拠点のスタッフのリスク感知能力に精度の差があるという問題がある。

 そこで、KIBITにメンタル不調の重篤化した人が過去につづった文章を学習させ、就労者の「衝動性」と「うつ状態」の兆候を分析した。その結果、検証ではスコア上位30%のリストに重篤化した人のデータが並ぶようになったという。本格的に導入した後には、事前に利用者の重篤化を防いだ例も挙がっており、キビットのアラートを基に、リスク5の深刻申告なリスクを抱えている利用者を見つけ出したケースもあった。

 リスクの早期発見や、ブレない判断が可能になっただけでなく、KIBITの判断基準を学ぶことでスタッフのスキルも上がり、高い費用対効果を感じるとLITALICOは説明する。

 上記のような活用法以外にKIBIT Knowledge Probeは、コールセンターでの顧客サポート支援や金融業などでのコンプライアンス違反の察知、景表法への抵触チェック、市場・競合調査、技術調査などを得意領域として挙げる。「企業が取り扱うさまざまなテキストの解析に幅広く利用できる」とFRONTEOは説明する。

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