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» 2017年06月28日 10時00分 公開

すご腕アナリスト市場予測:ユーザーインタフェースとしてのAI進化論 (1/4)

新たなユーザーインタフェースとしてクローズアップされているAI技術。音声アシスタントやチャットボットなど最新動向を解説する。

[樋口陽介,アクセンチュア]

アナリストプロフィール

樋口陽介(Yosuke Higuchi):アクセンチュア デジタルコンサルティング本部 シニア・プリンシパル(先端技術戦略プロフェッショナル)

1999年アクセンチュア入社。主に通信、ハイテク業界で、先端技術を活用した新規事業戦略、中期ビジョン策定に長く従事。あわせて、リスク管理や組織設計などの企業の仕組みづくりから社会課題を扱う案件まで、幅広いキャリアを経験。近年はデジタルコンサルティング本部に所属し、新規サービスのUI/UX設計、IoTなどのデジタル戦略のエキスパートとして業界横断的なコンサルティングに携わる。2014年よりAccenture Technology Vision日本版の編集を主導。


 画像解析や音声認識などの分野で機械学習が進み、人工知能(AI)に関連したさまざまなサービスが市場に登場していることはご存じの通りだろう。大きなトレンドになっているAIだが、最近ではユーザーインタフェースとしての活用がクローズアップされ始めている。ユーザーがさまざまなデバイスやサービスを利用するフロント部分にAIが応用される機会が増え、Amazon Alexaなどの音声アシスタントやチャットボットとの結び付きも話題となっている。そんなテクノロジートレンドについて触れながら、ユーザーインタフェースとしてのAIの未来をひもといていく。

ユーザーインタフェースとしてのAI

 アクセンチュアでは、世界のテクノロジートレンドに関する調査レポート「Accenture Technology Vision」を10年前から毎年発表しており、2017年1月に最新のレポートを公開した。今回のテーマは「テクノロジーを“ひと”のために」。世界5,400人以上の企業経営層・IT部門責任者への調査に基づいて、これから3年のテクノロジーのトレンドを予測している。

 今回のレポートでは、テクノロジーがもたらす変化を待つのではなく、企業が「ひと」(従業員、顧客)に合わせてテクノロジーをデザインすることの必要性を説いている。また、テクノロジーの進化が働き方や暮らしに新たなチャンスをもたらす点も、今回のレポートの大きなメッセージの1つだ。

 利用したいときに柔軟に活用できる人材のプラットフォームや、オンラインの業務管理ソリューションが急増していることからも、テクノロジーが「ひと」に新たなスキルを与えることは、企業の成長を左右する重要な取り組みといえる。

 このレポートでは、今後3年間でこうした「ひと」を中心としたテクノロジーの活用について5つの視点で読み解いている。その中の1つが「AIは新しいユーザーインタフェース(AI is The New UI)」だ。

 なぜ、AIが新しいユーザーインタフェースになり得るのだろうか。これまでAIは、例えば在庫の最適化や、内容に応じた最適な保険料率を見つけ出すといった、裏方として活躍するケースが一般的だった。

 しかし、テクノロジーの進展により、AIが顧客体験やエンゲージメントの向上に貢献できると期待され始めている。例えばAmazonの音声認識技術「Amazon Alexa」は、音声認識の処理時間を約3秒(開発開始時点の一般平均)から1.5秒にまで高速化し、音声対話エージェントとしてさほど違和感のないレベルに達しつつある 。

 また、画像認識の進展も著しい。誤認識率が大きく低下し、実際のサービスとしても十分使えるレベルにまで到達しており、特定の領域においてはAIの「目」の認識率が人間を超える可能性も出てきている。広義の意味でとらえたAIが「ひと」に近いフロントエンドで利用できるテクノロジーとなってきているのだ。

 「Accenture Technology Vision 2017」の調査では、79%の企業経営層、IT部門責任者が「AIによって顧客からの情報の入手方法や、顧客との関わり方が劇的に変化する」と回答しており、AIによる企業変革に期待が集まっていることが分かる。

 実際、音声認識端末「Amazon Echo」の所有者は、オンライン購買の大半をAmazonで実施している状況にあり、購買機会が6%増加し、支出が10%増加したというデータもある 。積極的に使いたくなるタッチポイントがあれば、当然利用する人も増えてくるのが自明の理だ。

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