連載
» 2017年05月25日 10時00分 公開

成功事例から考える「働き方変革」:第1回 ワークスタイル“改善”で終わってない? 本当の「変革」に必要な3つの要素とは (1/3)

モバイルやWeb会議、仮想デスクトップを導入したものの、ワークスタイル“変革”ではなく“改善”で止まっていないだろうか。問題を根底から解決し、働き方を変革する方法を紹介する。

[新山耕司,ネットワンシステムズ]

 近年、ワークスタイル変革を実践する企業が増えている。その背景にあるのは、従業員の働き方を変えて生産性を向上したいという企業の意識の高まり、時間と場所に捉われない柔軟な働き方を実現するために必要なITツールの普及だ。

 だがワークスタイル変革への取り組みを始めてみたものの、うまく実現できていない企業は多いのではないだろうか。その大きな理由として、従業員のワークスタイル変革に対する不安と、セキュリティへの不安が挙げられる。ワークスタイル変革を成功させるには、「実際に働き方が変わる従業員のワークスタイル変革に対する理解」と、「ワークスタイル変革を後押しするITツールの整備」が必要不可欠である。

 本連載は、従業員の理解を得つつ、実際に全社規模でワークスタイル変革の取り組みを、進めているネットワンシステムズでの実践ノウハウを踏まえて、ワークスタイル変革が必要な背景、実現するために必要なITツールや人事制度、ファシリティ、成功例、課題、そして将来展望について解説する。

 第1回である今回は、ワークスタイル変革が必要な背景と、情報システムがどのように貢献できるのかを紹介する。

ワークスタイル変革のニーズが高まっている背景

 総務省や経済団体連合会をはじめとする多くの組織が、ワークスタイル変革を推進している。女性や高齢者、外国人を含めて幅広く雇用を促進し、労働力確保と生産性向上を進めるためだ。ワークスタイル変革は、従業員一人一人の成果を最大化する「生産性の向上」と、従業員の仕事と生活の双方を改善する「ワークライフバランス」、性別や世代、国籍の異なる従業員が働きやすい環境を整える「ダイバーシティー」の3つが重要になる。これらはITツールを活用することで大きく改善可能だ。

 例えば単純に生産性を向上させるには、「隙間時間」(予定と予定の間にある短い時間)を効率的に使えばよい。自宅からオフィスへの通勤時間やオフィスから取引先への移動時間、出張の移動時間などは、典型的な隙間時間である。隙間時間にクライアントPCやスマートデバイスから適切なITツールを使うことで、メールやスケジュール、ドキュメントを確認することができる。またWeb会議やビデオ会議を使い、会社の会議に参加することで、オフィスと変わらない仕事環境をどこでも実現できる。

 このようにITツールを導入することで、効率的に仕事を進められ、生産性向上を図ることができる。従業員は自由な時間を確保することが可能になり、その時間を友人や家族と過ごす時間にしたり、やりがいのある仕事に取り組む時間にしたりして、ワークライフバランスも実現できる。

 次に多様な人材の活躍を例にとってみる。例えば、優秀な女性従業員が結婚や出産、育児などのライフイベントで退職してしまうことは、企業にとって大きな損失となる。育児中の従業員にとって、制約事項の1つは「オフィスに物理的に出勤する」ことだ。育児中の従業員は、子どもの発熱で急きょ仕事を休まなければならなくなったり、幼稚園や保育園、小学校での用事で丸ごと1日休暇を取る必要があったりする。そのとき「同僚に迷惑を掛けているのではないか……」と考え、ストレスを抱えてしまう場合が少なくない。

 また高齢社会であることを考えると、今後は女性や男性を問わず、親の介護の問題で時間の制約を受ける従業員が増える可能性がある。会社が従業員に提供するITツールによって在宅勤務が実現できれば、子どもがいる従業員や親の介護をしている従業員が抱える多くの課題を解決することができる。

 ITツールを使い自宅でもオフィスと変わらない業務ができる仕組みを整備することで、全ての従業員がライフイベントにかかわらず、安心して仕事をすることができるようになる。下記は、ワークスタイル変革を支援する代表的なツールだ。

  • コラボレーションツール(チャットやビデオ会議など)
  • デスクトップ仮想化システム
  • スマートデバイスから利用できるモバイルアプリケーション(スケジュールや資料確認など)
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