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» 2017年05月22日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:機械学習ツールやサービスの種類と使いどころを整理する (3/7)

[吉村哲樹,オフィスティーワイ]

自ら学習させるか「学習済みサービス」を使うか

 では、企業がビジネス課題を解決するために機械学習や深層学習を活用するに当たっては、具体的にどのような手段が存在するのか。大きく分けると、「学習データを使った学習作業を自社で一から行う方法」と、「既に学習を一通り終えたモデルをサービスとして利用するケース」の2通りが考えられる。

 一見すると学習済みのサービスを利用すれば効率がいいようにも思えるが、自社のビジネスに固有のデータを使った学習は、自社で自ら行うしかない。

 例えば一般会話の音声認識や、画像から人間の顔を認識するといった汎用(はんよう)的な機能は、さまざまなクラウドベンダーからサービスとして提供されているため、それらを使えばいい。その一方で、自社のビジネスや業界に特有の専門用語が飛び交う会話の認識や、自社の工場で稼働する設備の故障予知を行うといったような、特定の企業や業界に特化した認識や予測は、専用の学習データを自ら用意して一から学習モデルを構築するほかない。

 こうして自社で一から学習モデルを構築する場合には、3通りの選択肢がある。1つは、機械学習の仕組みそのものを一から自社で構築するというもの。2つ目が、オープンソースとして公開されている機械学習フレームワークを利用するという方法。そして3つ目が、クラウドサービスとして公開されているフレームワークサービスを利用するというものだ。一般企業の場合は、2つ目の「オープンソースのフレームワーク利用」か「クラウドサービスの利用」の2つの中から選ぶことになるだろう。

代表的なベンダーの製品やサービス

 オープンソースの機械学習フレームワークとしては、グーグルが開発・提供する「TensorFlow」がよく知られているが、その他にも「Caffe」「Keras」などの人気も高く、また国産の「Chainer」を支持するユーザーも多い。Chainerは大手自動車メーカーが自動運転技術のデモに採用されたこともよく知られている。

 オープンソースのフレームワークを直接使いこなすにはそれ相応のスキルが求められるが、自社にそうしたスキルを持つ技術者がいない場合には、コンサルティングを含む導入メニューを持つITベンダーやSI企業の支援を受けるのが現実的だろう。

 この他、最近では国内でもAI関連ソリューションに強みを持つ独立系ベンダーが機械学習関連ソリューションを企画、設計したり、実装支援行っており、ビジネス化の手前の段階から協業するケースも増えている。

図1 TensorFlowによる一般物体検出例 図1 TensorFlowによる一般物体検出例(出典:クラスキャット、XEENUTS)

 一方、既に学習モデルが確立されている汎用(はんよう)的なクラウドサービスを使う場合は、必ずしも高度なスキルが要求されるとは限らない。中には極めて容易に使いこなせるよう工夫が凝らされたサービスもあるため、まずは実際に触ってみてイメージをつかんでみることをお勧めしたい。

 以降では、主だったベンダーが提供するクラウドサービスについて簡単に紹介する。

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