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GDPR対応遅れる日本、今見直すべき「情報ガバナンスモデル」とは(1/2 ページ)

2018年5月より適用されるEUの一般データ保護規則(GDPR)の対応に悩む世界の企業は多い。日本は対応に後れを取っているとされる。どうすれば対応すべきなのだろうか。

» 2017年05月15日 10時00分 公開
[宮田健キーマンズネット]

 ベリタステクノロジーズは2017年4月27日、EUにおける一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:GDPR)施行に伴い、企業が考えるべきポイントを、同社のエンタープライズデータマネジメントの取り組みとともに紹介した。ベリタステクノロジーズが調査した結果によると、日本は世界に比べGDPRの取り組みに後れを取っており、GDPRを理解し、情報に対する戦略を見直すべきだと語る。

情報管理の課題の1つとして、「GDPR」がクローズアップされている 情報管理の課題の1つとして、「GDPR」がクローズアップされている

そもそも、GDPRとは何か?

 GDPRは欧州、EU圏内で間もなく施行される個人情報保護のための規制で、2018年5月25日から有効になるものだ。世界においても最も包括的なデータプライバシーの保護を規定しており、ヨーロッパ圏内で収集した個人データの取り扱いを厳格に定義している。

 対象となるのはEUおよび欧州経済領域(EEA)圏内において取得した、EU圏の居住者に関する個人情報を、EU域外に持ち出して取り扱うようなビジネス全体で、Cookieなど無記名のトラッキングデータも保護の対象となる。これらの情報はGDPRで定められたルールにのっとり、厳格な取り扱いが求められる。

 例えば、個人情報が不要になったときにはデータを削除できること、顧客から希望があったときには該当の情報を的確に削除対応できることが要求される。これを実現するためには、情報がどこにあるか、現状の把握と的確な分類の上に、さまざまな処理を速やかに実行できるような体制になっている必要がある。

GDPRはEU加盟国の居住者の個人情報を適切に守るための規則で、EU圏内でビジネスを行うためにはGDPRに準拠する必要がある GDPRはEU加盟国の居住者の個人情報を適切に守るための規則で、EU圏内でビジネスを行うためにはGDPRに準拠する必要がある

 GDPRの主な要件は4点で、適切な文章での説明や監査手順を明記する「説明責任とガバナンス」、当初説明した目的以外のデータを持っていないことを利用者に確約する「保管の制限」、インシデントがあれば72時間以内での報告義務を課す「情報漏えいの通知」、そして利用者からの消去依頼があったら対応されることが保証される「個人の権利」だ。

 これらの要件をクリアできない場合、GDPRは年間売上の最大4%、もしくは 2000万ユーロのうち高い方を制裁金として課すことが規定されている。個人情報を守るために高度な既定があること、制裁金が高額で万が一対応ができない場合にビジネスに大きな影響があることから、グローバル展開する企業では対応が進んでいるが、日本においてはGDPRの知名度がまだ低いというのが現状だ。

日本は世界に後れを取っている状態だ 日本は世界に後れを取っている状態だ
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