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日本企業も注目する「Hyperledger Fabric」とは何か(2/4 ページ)

» 2017年04月25日 10時00分 公開
[星暁雄キーマンズネット]

ブロックチェーンは「信頼できる第三者機関」をソフトウェア化したもの

 最新情報の詳細説明に入る前に、ブロックチェーン/分散型台帳について手短に“おさらい”しておきたい。まだまだ情報不足感が強い分野だからだ。「ブロックチェーン技術」とは仮想通貨ビットコインの基幹技術を抽出、再構築した技術全般を指す言葉といえる。

 「ブロックチェーン技術」という表記は、実装手法(特にデータ形式)に注目したものだが、これを機能に注目して「分散型台帳技術(DLT:Distributed Ledger Technology)」と呼ぶ場合もある。ただし、ブロックチェーンとは別の手法で実装した分散型台帳技術も存在するので、必ずしも完全に同じものを指し示すわけではないので注意しよう。

 ブロックチェーン技術とは、ざっくり説明すると「P2P(peer-to-peer)」「分散合意アルゴリズム(コンセンサスアルゴリズム)」「暗号技術(暗号学的ハッシュ関数と電子署名)」の各要素技術を巧みに組み合わせ「止まらない、消せない、低コスト」な台帳(分散型台帳)を作り出す技術といえる。

 ブロックチェーン技術により実現する分散型台帳の意義は、「利益相反する当事者どうしが内容を信頼できる台帳」が低コストに実現できることにある。ブロックチェーン技術が登場する以前は、このような台帳を実現するには、まず情報システムを運営管理する第三者機関が必要だった。可用性やセキュリティを追求した複雑な情報システムを設計、構築するコストも高くつく。それを単体のソフトウェアの標準機能として提供することがブロックチェーン技術の価値だ。

 ブロックチェーンに関するユースケース(活用事例)は、いずれも「止まらない、消せない、改ざんできない、低コスト」という特性に注目したものだ。ここまでは、よく知られるビットコインや、ビットコインとは別の仮想通貨である「Ethereum」、本稿で紹介する「Hyperldger Fabric」など、多くのブロックチェーン技術に共通する特徴といえる。

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