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» 2017年02月23日 10時00分 公開

アジア進出を狙う中小企業を支援する「学習し、対話するERP」 (1/2)

アジア圏の商習慣や関税ルールが盛り込まれたERPをSaaSとして利用できるように。中堅〜中小企業でも機械学習や予測分析などの高度なIT化にチャレンジできるようになるという。

[原田美穂,キーマンズネット]

 パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)は、マイクロソフトの中堅・中小企業向けERPパッケージである「Microsoft Dynamics NAV 2017(Dynamics NAV)」の日本語版および中国、香港、タイ、ベトナム版を2017年4月から提供する。

 Dynamics NAVの提供形態は、オンプレミス型、パートナーのデータセンターにホスティングする形のクラウド、マイクロソフトが提供するSaaS(Dynamics 365)の3種。

 従来、大手企業の海外販社などに導入されるケースが多かったが、Azure上で提供できるようになったことから、価格競争力が高まっており、中堅・中小企業のアジア圏進出時にも使いやすいERP製品に仕上がっているという。

小林俊樹氏 パシフィックビジネスコンサルティング 代表取締役社長 小林俊樹氏

 2017年2月20日に開催された製品発表会見で、PBC 代表取締役社長 小林俊樹氏は「Microsoft Azureを使ってIaaSやSaaSとして提供することで、国内中堅・中小企業向けとしても価格面で競争力が高まった」とコメント。

 従来Dynamics NAVは、価格面で国産の中堅・中小企業向けERPパッケージと比較すると価格面ではやや不利だったこともあり、Dynamics AXとの連携が必要な企業向けのERPとして、海外大手企業の系列組織などでの採用が多かった。これが、従量課金型のクラウドサービスで利用できるようになったことで、「中堅・中小企業が単独で、大規模な投資なしにIoTやインテリジェントな仕組みにチャレンジできる環境が整ってきた」(小林氏)。

 価格面で競争力が高まったことに加え、Azure上のサービスを連携させた機能開発が容易である点を強みに、新たな顧客獲得のチャンスが拡大すると期待を語った。

Dynamics 365とDynamics NAVは「併存」の関係

 Dynamics NAVは「Dynamics 365」と併存するプロダクトとして位置付けられる。

 マイクロソフトでは、より大規模な組織向けとして「Dynamics AX」を提供、NAVと連携してきたが、AXは2016年11月にSaaS版「Dynamics 365」にリニューアル。当面AXのサポートは継続されるが、今後はDynamics 365への移行を推進する予定だ。一方の、Dynamics NAVについては今後も開発を継続するという。

 「Microsoft Azure」や「Office 365」「PowerBI」などとの親和性を生かした機能を提供する点は、Dynamics 365と共通した特徴だ。

Dynamics 365 for Operations GP、SLは日本では提供していない。AXは今後、SaaS版の「Dynamics 365 for Operations」への移行がアナウンスされているが、NAVは提供を継続する
田村 元氏 日本マイクロソフト Dynamics ビジネス本部 本部長 田村 元氏

 会見では日本マイクロソフト Dynamicsビジネス本部 本部長の田村 元氏が登壇。「マイクロソフトはIoYT(Internet of Your Things)を掲げ、Azureにデータを蓄積し、活用するための各種サービスを整備している」と、データを流通させるエコシステムが形成されている点を強調した。

 その上で、「データは蓄積できるが、それを知見として獲得するにはもうひと手間が必要。機械学習など、『Cortana Intelligent Suite』の各種機能との連携がカギとなる」と、最新版Dynamics NAV 2017の強みを次のように説明する。

 Dynamics NAV 2017の特徴としては、(1)Outlook上で与信や見積もり機能を呼び出せる連携機能、(2)Dynamics NAV上で「Power BI」を使ったデータ分析が行える連携機能、(3)機械学習(Azure Machine Learning:AzureML)による予測モデルを構築/利用できる機能、(4)「PowerApps」「Microsoft Flow」と連携したノンプログラミングでのワークフローアプリ開発環境の提供、(5)NAV本体のUIデザインのダイナミックな変更が可能な「デザインモード」機能、(6)開発環境「Visual Studio Code」への対応が挙げられる。

 例えば(1)では、Outlookと同じ画面でDynamics NAVの機能を呼び出し、その場で顧客情報を閲覧したり見積を作成したりできる。

新機能(1)Outlookとの連携機能、画面例 新機能(1)Outlookとの連携機能、画面例

 他にもマイクロソフトが提供するSaaSや開発環境の機能を連携、NAVを中心にさまざまなツールからアクセスしたり、多角的な分析を行ったりできるようになる。

Dyamics NAVを中心に、Office 365やPowerBI、Cortana Intelligenceなどを連携 Dyamics NAVを中心に、Office 365やPowerBI、Cortana Intelligenceなどを連携

 この、マイクロソフトが提供するDynamics NAVに対して、主要なアジア圏5カ国の言語・商流に対応したモジュールを開発してきたのがPBCである。

 田村氏は「Dynamics NAVは欧州を中心にシェアを持つ“強い製品”。顧客企業がアジア市場に展開する際、各地の商習慣に対応した機能を提供するPBCは、われわれが中堅〜中小企業向けビジネスを拡大する上で非常に重要」とコメント。同社Dynamics事業の中でも、PBCが国内中堅・中小企業のアジア圏進出時の支援に欠かせないパートナーだと語った。

直近ではベトナムとタイの現地化に対応した 直近ではベトナムとタイの現地化に対応した
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