現在、マルチクラウドの統合管理は、既に統合運用管理ツールをオンプレミスシステムで利用している企業がクラウドサービスの管理にも拡張して利用しているケースが多いだろう。図1のように、統合運用管理ツールのクラウド管理オプションを利用し、オンプレミスシステムやプライベート/パブリッククラウドの運用管理を統一インタフェースで行うケースだ。
クラウド環境でのインスタンスの作成から削除までの一連のプロセス(起動、停止、監視、管理)がオンプレミスシステムと同様の運用管理項目に加えて実行できる。インスタンスの生成と同時に監視対象にできるため、管理負荷は軽減する。
オンプレミスシステムを運用するイメージをマルチクラウド統合管理においても踏襲できるため、この方法は、大規模ユーザー向けの統合運用管理ツールをオンプレミスシステムで運用してきた企業には特に好適である。ただし、そうでない企業にはかなりハードルが高いものになるため、オンプレミス・クラウド環境双方に手軽に導入が可能な製品の採用が重要なポイントとなる。
また、導入の手軽さという観点で、今後注目したいのはサービスとしてのマルチクラウド運用管理ツールだ。今のところサービス数は限られてしまうが、主な機能とそのメリットを簡単に紹介しよう。
1つ目のメリットは、言うまでもなく1つの統合管理コンソールで複数クラウドサービスの集中管理が可能になることだ。すなわち監視のための工数を減らし、管理品質を上げられる。例えば、各サービスの管理に必要となる死活監視や重要な監視項目、アラートの状況をダッシュボードで常時確認できる(図2)。これであれば障害対応はもちろん、軽微な異常が大きな障害につながることを事前に防ぐこともできよう。
障害が発生した場合、ダッシュボードから「仮想サーバの一覧画面」を呼び出すことで、どのシステムに影響しているのかをすぐに確認できるし、そのシステムがどのクラウドサービスを利用しているのかも分かる(図3)。また、「アラート一覧画面」に切り替えてアラートの詳細な情報も確認できる(図4)。
さらに、各種クラウドサービスやオンプレミスシステムの専用管理ツールにシングルサインオンで移動して、すぐに対応作業が始められる。体感的にはシームレスな管理操作が実現可能だ。仮想サーバの停止や起動といった簡単かつ頻繁に求められるような操作はマルチクラウド運用管理ツールから行えばいいが、それ以外の細かな操作はクラウドサービスの専用管理ツールで行った方が利便性は高まるだろう。
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