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AIを利用するだけならデータサイエンティストはもう要らない?KeyConductors

米Salesforce.comが自然言語処理や深層学習などの機能を組み込んだAI「アインシュタイン」を発表した。

» 2016年09月28日 10時00分 公開
[原田美穂キーマンズネット]

 米Salesforce.comは、2016年9月19日(米国時間)、自社で提供する各種クラウドサービスに自然言語処理や深層学習(ディープラーニング)などの機能を組み込んだ「Salesforce Einstein(Einstein/アインシュタイン)」を発表した。併せて、AIに特化した研究開発部門「Salesforce Research」も組織する。

 Einsteinは、過去に米Salesforce.comが買収したAI技術を持つ9つの企業の技術を基にしており、「Salesforceプラットフォーム」上の顧客情報などのデータを学習ソースにして、同プラットフォーム上の各サービスで利用できる。

Salesforce Einsteinを紹介する米Salesforce.comの公式ブログ Salesforce Einsteinを紹介する米Salesforce.comの公式ブログ

何が変わるのか、変わらないのか

 「利用できる」といわれても、「業務の何が変わるのか」は、想像しにくいところかもしれない。

 Einsteinを紹介する公式ブログでは、「Salesforce Marketing Cloud」でβ版のEinsteinを利用したeコマースサービス「ShopAtHome」の例として、AI(Einstein)を使うことで、顧客ごとの特性に合わせた個別のメール配信が可能になった結果、開封率を30%向上させるなどの成果を上げたことを示している。

 一般に機械学習を利用するには、自然言語処理や学習モデルの実装や評価など、用途に応じて複数の専門的なスキルが必要とされる。さらに、データソースの整備、学習モデルのチューニングなど、実装には工数がかさみがちだった。しかし最近では、「Azure Machine Learning」や「Amazon Machine Learning」のように、クラウドサービスで簡単に利用できるものが登場している。両者とも環境を構築する工数を削減できる点が利点だ。

 Einsteinも、これらと同様に、データサイエンティストを抱えていない企業であっても利用できるAIとして提供されることになりそうだ。

 特にEinsteinは、Salesforceプラットフォームに特化しており、開発環境も標準の「Lightning」を利用できる。従来の環境から変わらずにアクセスできるため、既存ユーザーやインテグレーターにとっては導入しやすいAI機能になるだろう。

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