MADP未利用の場合に悩ましいのがOSバージョンアップに伴う影響調査と対応のための開発・修正作業だ。アプリ対応が遅れるとクレームの元となり、動作不具合やセキュリティ上のリスクなど多くの問題が生じる可能性がある。一方、MADPの場合はプラットフォーム側で新OSバージョンへの対応が行われるため、MADPの対応版であらためてビルドするだけで解決できる場合が多い。ツールによっては、ハイブリッドアプリのWebリソースに関して変更差分だけをサーバから直接配布する「ダイレクトアップデート」機能を持つものもある。
新OSバージョン対応版の提供は、おおむねOSバージョンアップから数週間程度と早く、中にはIBMのようにAppleと連携して新iOSリリースと同時に対応版をリリースするベンダーもある。またKonyの場合はOSバージョンアップから30日以内の対応版提供をSLAとして保証している。
モバイルデバイスで必要とされるセキュリティ機能は主に5点ある。「認証」「暗号化」「改ざん防止」「脆弱(ぜいじゃく)性対応」「端末紛失対応」だ。これらについて社内のセキュリティポリシーにのっとったセキュリティを実装するにはMADPツールだけでは難しい。端末管理のためのMDMツールと、認証機能やデータ保護機能などバックエンド側の実装が必要だ。もちろん社内利用に限定できないB2C、B2Bアプリの場合はMDMが利用できない前提で考えなければならない。セキュリティ機能を個別に漏れなく実装するのはどのような開発においても悩みの種だ。
MADPツールには、図9のようなセキュリティ機能が備えられているものがあり、これを利用したアプリ開発ではその部分のコーディングを削減することができる。いわばツールベンダー側でセキュリティを保証してくれるわけだ。この側面を重視してMADP導入を図る企業が最近増加しているという。
事例:オンラインバンキング
某金融機関ではHTML5ハイブリッド型のiOS/Android用アプリで、“1秒でログインできる残高照会アプリ”を作成。monacaとOnsenUIでネイティブアプリと遜色ない操作感を達成した上、セキュリティに関わる処理は全てサーバ側で実行し、monacaの機能によりアプリ側リソースファイルを暗号化した。
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