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SDSの使いどころはココだ、ユースケースと選び方、6つのポイントIT導入完全ガイド(2/5 ページ)

» 2016年05月18日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

コモディティサーバを活用してSDS実現

 このようなマルチベンダーの既存ストレージ専用装置の管理機能を抽象化し、ソフトウェアによって一元的に同一の手法で管理や監視を行う方向性の製品の仕事を「Software Defined Orchestration」と呼び、異なるジャンルに位置付ける見方もある。

 もともと現在のようなSDS進展の発端がコモディティサーバを活用したスケールアウト容易な、いわばAmazon S3のようなデータサービスへの関心の高まりだったこともあり、分散するコモディティサーバを仮想化して1つのストレージに見せる手法がすなわち「SDS」だという認識も広がっている(図1)。むしろこの方が現在のところ一般的な理解なのかもしれない。

図1 Software Defined Orchestrationと、分散コモディティサーバを利用する「SDS」 図1 Software Defined Orchestrationと、分散コモディティサーバを利用する「SDS」(出典:レッドハット)

 実際、現在SDSに関心を寄せる企業の多くは、コモディティサーバを活用して低コストにデータ増大に備えたいという動機を持つ場合が多いようだ。特にストレージノードとなるサーバが廉価で、追加もリプレースもサービスを止めずに迅速に行えることが注目される理由になっている。

 この方式の場合、各サーバ上のソフトウェアが内蔵ストレージの管理機能を担い、分散したノードの連携も同ソフトウェアが行う。レプリケーションやスナップショットなどの冗長化やデータ保護機能などもソフトウェアの機能として備えている。

 基本的にはオブジェクトストレージを形成し、データがどのように分散していても、またサーバ間を移動していても、オブジェクトIDは一意なので矛盾がおきることはない。アクセスはシンプルなREST APIを利用でき、インターネット経由でのアクセスにも好適だ。パフォーマンスは専用アプライアンスよりも低いため、更新頻度は比較的低いが大量・大容量を必要とするアプリケーション(例えば画像や映像、分析系など)により適性がある。一方で高速トランザクション処理には難がありそうだ。

 ただし、性能の問題はハードウェア側(CPUなどのデバイス)の進歩により常に変わる。その進化の恩恵をサービスを止めることなく、継続的にタイムリーにストレージに組み込んでいけるところも、ハードウェアベースのストレージ専用製品とは異なる特長だ。

 レッドハットでは、ストレージを従来型の「データ容器」としての存在ではなく、IAサーバのコンピューティング能力を最大限に活用した「ストレージ+コンピューティング」こそが本来のSDSの持つ可能性だと考えている。

 これを表現するキーワードとして「ストレージング」という言葉も生み出している。実際、ストレージベンダーがこれまで行ってきたストレージの進化を、今後はソフトウェアベンダーやオープンソースコミュニティー、あるいはSIerが担うことも可能になるはずだ。

 なおアクセス方式としてはRESTばかりでなく、ファイルアクセスやブロックアクセスも可能にした製品がある。例えばEMC ScaleIOはブロックストレージをコモディティサーバ上に構築できる。オープンソース製品のGlusterは分散ファイルシステムを構築する。

 同じくオープンソースのCephはオブジェクト/ファイル/ブロックアクセスの全部をサポートしている。VMware vSANは独特で、同社の仮想環境vSphere専用でvCenter Serverに管理を一元化、アクセス方式は独自APIなのでvSphere以外からのアクセスはできない。

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