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» 2016年03月29日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:これが最前線の現場だ、ウェアラブルデバイス活用事例3選 (1/4)

業務用ウェアラブルデバイスの普及が始まっているが、具体的な運用シーンは一体どうだ? 日立、富士通、NTTデータの3社に聞いた最先端の活用例。

[小林誠,キーマンズネット]

 業務用ウェアラブルデバイスの普及が始まっているが、具体的な運用シーンが想像しにくく、導入をためらってはいないだろうか。そもそもどのデバイスでどんな使い方ができるのか。実際にデバイスやシステムを開発している3社に話を聞いた。

自社運用で実績を高めた、日立製作所 インフラシステム社の事例

 まず日立製作所 インフラシステム社の製品と事例を紹介しよう。インフラシステム社では、社会・産業インフラを扱うが、同時に提供しているのは「Doctor Cloud」カメラ付きヘッドマウントディスプレイ(HMD)だ。前回のスペック表でも触れている通り、インフラシステム社はこのデバイスを単体で販売しているのではなく、「Doctor Cloud」のパッケージとして提供する売り方だ。

システムのイメージ 図1 システムのイメージ(出典:日立製作所)

 「Doctor Cloud」はM2M(Machine to Machine)クラウドで収集した情報を設備管理ソフトに反映し、分析や機器の監視を行えるソリューション。このソリューションの中で使うデバイスの1つがウェアラブルのHMDなのだ。そのためこのシステムではタブレットを使ったAR活用(ガイダンスの表示)も含まれている。まだHMDでのAR活用にまでは至っていないが、将来的には対応を考えている。

 同社ではこのシステムを、プラントや浄水場といったインフラで利用することを想定しているが、そもそも開発の段階から日立グループ、水資源機構で試験的に運用した実績がある。これは自社でインフラ事業を行っている日立ならではの開発方法といえるだろう。

 そのため現在提供されているHMDは「4代目」にあたるモデルだという。過去に眼鏡型やディスプレイサイズを変えたモデルも試し、HMDだけでも2年弱の知見を得ているとのことだ。写真でも分かる通り、ディスプレイの位置は目線から外しており、視界を確保しながらの安全な作業が可能だ。

 また、HMDにはカメラが搭載されており、相互通信が可能。その映像をリアルタイムで4人(作業員含む)同時で見られる仕組み。この映像配信先の設置も含めて導入時のパッケージに含まれている。ハンズフリーになっているので、作業員はカメラの操作は気にせず、作業を続けることができる。

日立製作所 インフラシステム社のHMD 図2 日立製作所 インフラシステム社のHMD。実はこの前のモデルはさらにコンパクトだったという。だがディスプレイが小さすぎると現場から不満が寄せられた。大きい方が好まれることもあるのだ。ディスプレイ輝度が高く、屋外でもクッキリ見えるのも特長だ(出典:日立製作所)

 管理者はその様子を見ながら適宜指示を出せる。遠隔地からも同時に現場を見られることで、管理者が事務所からいちいち出入りすることがなくなり、時間の節約になりスピード感が増すという。

 前述の「Doctor Cloud」を使うことで、点検や保守の様子を撮影しサーバに送ることも可能だ。その画像は設備管理ソフトに収納され、HMDで点検を終えた後は自動的にレポートが出来上がる。作業員も点検後のレポート作成に時間が取られなくなるわけだ。

 この相互通信が生きるのが「緊急時」の場合。時間のない中管理者に迅速な判断を求めることができる。監視カメラやサイネージと違い、自由に移動できるウェアラブルデバイスは点検時の死角をカバーでき、今まで見られなかった場所が見られるようになる。結果、ミスが減ると考えているのだ。

HMDの利用イメージ 図3 HMDの利用イメージ。点検時のミス低減にウェアラブルデバイスが貢献する(出典:日立製作所)
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