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» 2016年03月16日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:ありがちな失敗に学ぶ、マーケティングオートメーション導入マニュアル (1/3)

せっかくMAを導入しても、当初想定していたほどの効果を上げられなかったり、業務現場でほとんど活用されなかったりといったケースも少なくない。導入を成功させるために気を付けるべきポイントは何か?

[吉村哲樹,オフィスティーワイ]

 これまでにない新たなマーケティング手法を取り入れ、企業の収益向上に大きく貢献することが期待されている「マーケティングオートメーション(MA)」。国内ではまだ普及しているとは言い難い一方で、早くからMAの取り組みに着手している企業もある。

 しかし、その試みの全てが成功しているとは言いがたいようだ。せっかく高額なITツールを導入しても、当初想定していたほどの効果を上げられなかったり、業務現場でほとんど活用されなかったりといったケースも少なくない。では、MAの導入を成功させるために気を付けるべきポイントは何か?

MAで利用するコンテンツはそろっているか?

 MAは企業のマーケティング活動に変革をもたらす画期的なソリューションとして大きな期待を集めているが、他のいかなるITソリューションとも同じく、ITツールを導入すれば全て事足りるというわけにはいかない。ITツールうんぬん以前に、体制作りやビジネスプロセスの改善、社内の根回しといったような「IT以外の要素」が、むしろ導入の成否を大きく左右することが多い。

 確かにMAツールを導入すれば、見込み客に適切なタイミングでメールやホワイトペーパー、Webページといったデジタルコンテンツを自動的に提供し、購買意欲を高めていくための一連の“仕組み”を構築できる。

 しかし、その仕組みに乗せるためのデジタルコンテンツが十分に用意されていないと、せっかく導入したMAの効果も限定された範囲にとどまってしまうかもしれない。従って理想的には、MAの導入前にデジタルコンテンツを使ったマーケティング、いわゆる「コンテンツマーケティング」の取り組みが行われていればベストだ。

 ただし、コンテンツの準備が不十分であっても、後述するように限定された範囲で小さくMAの取り組みを始めて一定の効果を得ることは十分に可能だ。 あるいは、これまで人手に頼っていたコンテンツ配信作業をツールで自動化するだけでも業務効率を大幅に改善できるだろう。

 まずは、自社における デジタルマーケティングの取り組みの成熟度がどの段階にあるか、そしてマーケ ティング業務のどのプロセスにボトルネックや抜け、漏れがあるのかをきちんと 判断した上で、MAツールの導入効果を測るべきだろう。

マーケティングオートメーションの理想形 図1 マーケティングオートメーションの理想形(出典:マルケト)

他部門とのコラボレーションの下準備はできているか?

 MAの導入は通常、システムの直接の使い手となるマーケティング部門の主導によって進められる。しかしMAの取り組み自体は、マーケティング部門だけで行われるものではなく、他部門とのコラボレーションが必須となる。

 例えば、コンテンツの制作やWebサイトの改修を行うたびに、他部門に作業を依頼する必要が出てくるだろう。見込み客にコンテンツを提供するたびに、担当営業との根回しが必要になるかもしれない。こうした他部門とのコラボレーションの下準備を怠ってしまうと、MA製品の導入には成功しても、MAの取り組み自体はなかなかうまく回らないというケースも少なくない。

 マーケティング部門では「キャンペーンをすぐにでも開始したいのに、コンテンツが全然アップロードされていない。担当部署は何をやっているんだ」、かたや情報システム部門などでは「マーケティングは担当外の業務なのに、あれをしろ、これをしろ、すぐにやれと文句ばかり」といったネガティブな感情が生まれてしまうと、巻き返しを図るのは難しい。

ITツールの導入だけで予算を使い果たしてしまった

 予算の確保と案分も、MA導入の成否を分けることがある。「ITツールさえ導入すればMAは実現できる」――こうした考えの下に導入計画を立てると、MA製品の導入が完了した時点でほぼ全ての予算を使い切ってしまうことも考えられる。しかし製品導入の完了は、あくまでもようやくスタートラインに立ったにすぎないのだ。

 適切なコンテンツを適宜制作し、マーケティング施策を設計し、その検証と改善のサイクルを継続的に回してみて初めてMAはその効果を発揮する。こうした活動を回していくための予算が残されていないと、製品を導入したはいいものの結局使われないままに形骸化してしまうことになりかねない。

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