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コスト削減にセキュリティ強化、助成金まで 中小企業こそ使えるクラウド型データセンターIT導入完全ガイド(2/4 ページ)

» 2016年01月12日 10時00分 公開
[西山 毅レッドオウル]

3つの阻害要因を払拭するクラウド型データセンターという選択肢

 中小企業でデータセンターの利用が進まない3つの理由を眺めてみた時、その背景には、自社のシステム運用コストを正しく把握できていない、兼務者がシステム運用に携わる負荷を正しく評価できていない、さまざまなセキュリティリスクを正しく認識していないという現状があることが見えてくる。

 クラウド型データセンターを利用することで、運用コストを見える化や低価格化が可能となり、兼務者の運用負荷の低減とセキュリティの強化も同時に実現できる。詳しく見ていこう。

システムの運用コストを見える化、低価格化する

 クラウド型データセンターの利用に際しては、データセンター側の仮想化されたサーバ環境をネットワーク経由で利用する形になる。そのため初期コストは不要で、自社でサーバやストレージ、ネットワーク機器を保有する必要もない。

 また、運用コストについても使用したITリソースの分だけ、月額料金で支払えばいいので非常に明快だ。運用コストが従業員用の電気代やオフィス代に紛れ込むこともなくなり、必要以上に経費がかさんでいる状況も解消される。

 そもそも自社でITシステムにかかる電気代やオフィス代を意識する必要がなくなるのだ。まずコスト面から、クラウド型データセンターは大きな効果を発揮する。

システム運用の手間を大幅に低減する

 データセンターにIT機器を置くと、万一何かの障害が発生した時に兼務者が現地まで出向く手間がかかると心配する中小企業があるかもしれない。しかし、ほとんどのデータセンター事業者では運用サービスまでを提供する。中小企業のIT兼務者がサポートセンターと連絡を取り合って問題を解決できる。

 また、兼務者のそばにIT機器を置いていた場合、何か問題が起こった時には兼務者の労力が障害復旧に費やされることになり、本来業務がおろそかになってしまう。しかも非常に重篤なトラブルが起こった際には、兼務者の手には負えなくなる。

 専任のサポートセンターがあれば、障害対応は任せてしまい、随時対応状況のフィードバックをもらえばいい。兼務者は障害のエスカレーションさえ済ませてしまえば、自分の業務に戻れるのだ。

 さらに運用の手間は障害発生時だけのものではない。従業員の増加や新たな事業を立ち上げるといった場合に、サーバを買い足すなどの対応が必要になる。クラウド型のデータセンターなら、サーバ性能の増強を必要な分だけ、ネットワーク経由で簡単に行える。兼務者の手を煩わせることもない。人件費の低減にも効くメリットだ。

各種セキュリティを確保できる

 多くの中小企業が「自社システムを外出しするのは不安だ」という思いを抱えている。そのためにIT機器類は、自分たちの目の届く範囲に置いておきたいと考える。しかし、冷静に考えてみると、果たしてユーザー企業のオフィスは物理的にどれだけ安全なのだろうか。あるいはユーザー企業のサイバー攻撃対策は、どれだけ万全なのだろうか。

 クラウド型データセンターでは、建物の堅牢性やサーバルームの安全性をデータセンター事業者側で確保する。サイバー攻撃対策などの情報セキュリティ対策も事業者が担うので、ユーザー企業の兼務者が情報を収集しながら対策を講じるよりもはるかに安全だ。この情報セキュリティ対策については、次の章でもう少し詳しく紹介する。

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