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» 2015年12月17日 10時00分 公開

すご腕アナリスト市場予測:国際競争に赤信号、周回遅れの「タレントマネジメント」 (1/5)

グローバル競争を勝ち抜くためにもタレントマネジメントは日本企業に不可欠なもの。その現実とツール選びの勘所を解説する。

[鵜澤 慎一郎,デロイト トーマツ コンサルティング]

アナリストプロフィール

鵜澤 慎一郎(Shinichiro Uzawa):デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員パートナー

日本のHR Transformation(人事部門改革)サービスリーダーとして、グローバルスケールの人事組織再編、オペレーション、人事システム改革プロジェクトを統括。大規模、複雑なグローバル人事プロジェクトおよびクラウドHRソリューション導入に関する日本における第一人者として豊富な実務経験を有する。グローバルタレントマネジメントにおける構想策定から制度設計、実際の導入まで支援している。主な著書や記事として『タレントマネジメントの進め方』(月刊人事マネジメント2011年12月号)、『ワークスタイル変革』(共同執筆/労政時報選書)他、人事専門雑誌への執筆多数。


 デロイトが調査した「グローバルヒューマンキャピタルトレンド2015」によれば、86%の企業が自組織の最重要課題として「リーダーシップ」を挙げ、グローバルスケールでの人材開発や最適要員配置が事業の競争優位性につながると考えている中で、日本企業の対応は全般的に遅れが目立つ。

 少子高齢化による国内労働人口減少と海外ビジネス拡大に伴う海外人材活用が急務な日本企業において、人材活用のシステマチックな方法である「タレントマネジメント」はこれからのグローバルビジネスでの成功に不可欠だ。競争を勝ち抜いていくには先を行く欧米企業にグローバル人材マネジメントの面でも追い付かなければならない。今回はあらためてタレントマネジメントの意義を考え、ツール導入の視点を解説する。

海外に後れを取る「タレントマネジメント」

 「タレントマネジメント」は1990年代後半から2000年代にかけて認知が進んだキーワードだ。この概念の誕生には、人材獲得、開発、育成がビジネス成長の重要課題と捉えられ、世界的に「War for Talent」と呼ばれる人材獲得競争が展開されるようになったことが背景にある。

 金融のゴールドマンサックスやITのマイクロソフト、グーグルのように、優秀な人材がビジネスを成長させ、その成長を見てさらに多くの優秀な人材が集まり、成長をより加速する循環を作り出した企業がビジネスの成功をつかみ取っていく姿が誰の目にも明らかだった。その循環を作り出すエンジンとして有望視されたのが「タレントマネジメント」である。

 タレントマネジメントの定義について世界規模の人材マネジメントコミュニティーであるSHRM(Society for Human Resource Management)では、タレントマネジメントを次のように定義している。

 「人材の採用、選抜、適材適所、リーダーの育成、開発、評価、報酬、後継者養成などの人材マネジメントのプロセス改善を通して、職場の生産性を改善し、必要なスキルを持つ人材の意欲を増進させ、現在と将来のビジネスニーズの違いを見極め、優秀人材の維持、能力開発を統合的、戦略的に進める取り組みやシステムデザインを導入すること」

 非常に汎用(はんよう)的かつ統合的な定義となっているが、実務的にタレントマネジメントを考えるためには「人材」つまり「タレント」が誰か、という視点も重要になる。もともとタレントマネジメントの第一の目的は経営者の後継者またはそれに近い権限と責任を持つ人のことを指す、トップレベルマネジメントを担える人材を選別、育成することだった。

 そこから広がり昨今重要視されるもう1つの「タレント」の解釈は「クリティカルワークフォースセグメント」と呼ばれる、事業上の競争優位性を発揮する重要部門の人材グループである。例えば、営業力が強みの場合は営業職群、製品に強みがある場合は研究開発職群を指すことになる。そしてもう1つは全従業員をタレントと幅広く解釈するものだ。

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