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IoTの基礎知識、4年後には16兆円市場になる魅力とは何かIT導入完全ガイド(3/4 ページ)

» 2015年11月24日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

産業界では「第4次産業革命」としての位置付け

 一方、産業応用の面では日本に先行事例がある。コマツによる「KOMTRAX」だ。2000年ごろからの同社の取り組みは、建設機械の盗難防止や盗難に遭った機械の発見を当初は目的としていた。機械にGPSをつけ、制御装置のデータと合わせてセンターにデータを集約して管理可能にしたところ、各機械の位置が把握でき、遠隔から操作ロックなどの制御もできるようになり、劇的に盗難が減ったという。機械自身がローカルな情報収集と通信機能を備える発想はその後機械の稼働管理や保守、運転支援、無人運行システム、全自動で作業が行えるブルドーザーなどの新しい製品につながっている。

 このような建設や製造業の機器制御に関する取り組みが国内に幾つかある一方で、企業間や業界内、あるいは業界横断的な広がりを目指す取り組みは、海外の方が進んでいる。最近最も注目されているのが、ドイツが国を挙げて取り組んでいる「Industrie 4.0」だ。

 製造装置の生産性指標の標準化を通して、さまざまなデバイスから広く適切に情報を収集し、分析して経営に役立てるという考え方をとる。しかも複数企業が連携したサプライチェーン全体を視野に置く。これはドイツ発祥のERPベンダー、SAPの基幹システムコンセプトと重なり、同社の存在感が大きい。

 また、米国ではGEを中心にした「Industrial Internet Consortium(IIC)」が主導している。こちらは製造業ばかりでなく、エネルギー、ヘルスケア、公共、運輸の領域も対象とし、上記の社会インフラにも貢献するものだ。インテル、シスコシステムズ、IBM、AT&Tが加わって創設され、日本を含め多くの国の企業がこれに参加している。基本ソフトとデータベースをオープンソースとして標準化し、モノの管理と情報分析を効率化することを目指しているのが特徴だ。

 Industrie 4.0もIICも目指しているのはグローバル標準化だ。それがもたらす産業へのインパクトは甚大で、「第4次産業革命」とも呼ばれている。日本はこちらの面では出遅れた感があるが、経済産業省では「データ経営2.0」と題して情報経済小委員会でIoTの活用を議論しており、自前主義から脱却した企業間連携を促進するための産業横断的な連携の必要性が指摘されている。また「スマートコミュニティー」はじめ「スマート」を冠したプロジェクトが幾つも進められているが、IoTはその有力な要素として認識されている。

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