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» 2015年10月20日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:オールフラッシュかハイブリッドか? フラッシュアレイ導入のポイント (1/3)

ディスクアレイをフラッシュメディアによるアレイにリプレース。選択肢はオールフラッシュアレイとハイブリッドアレイが有力だが、それぞれの特徴は?

[土肥正弘,ドキュメント工房]

 サーバ側へのフラッシュストレージ導入の利点を前回述べたが、エンタープライズ用途では容量やスケーラビリティの不足、可用性への不安、ストレージ共有のしにくさが問題になる。従来、外付けストレージとして大容量で可用性に優れ、メディア追加で簡単に容量を増やせるディスクアレイ装置を使ってきた企業では、フラッシュメディアによるアレイ装置にリプレースすることで従来同様の可用性を維持しながら高速処理やリソース削減、消費電力削減、省スペースを実現することができる。オールフラッシュアレイとハイブリッドアレイという選択肢があり、それぞれにベンダーや機種による特徴がある。今回は、ネットワークベースで利用されるフラッシュアレイの導入に関わる基礎知識を解説する。

オールフラッシュアレイとハイブリッドアレイ

 外付けストレージとしてHDDを多数搭載するディスクアレイ装置が使われてきた。容量が必要になったらHDDを追加すれば簡単に増やすことができ、RAIDコントローラーを搭載しているのでデータを分散して複数ディスクに書き込み、高速化やデータ保護がホストに負担をかけずに実現できる。キャッシュメモリを搭載し、データのリード/ライトの処理性能を上げている。

 オールフラッシュアレイ(図1)も基本的な考え方はこれと同じだが、利用するメディアがフラッシュメディアであり、優れたIOPSが得られるところが違う。ただしネットワークとコントローラーのオーバーヘッドがかかることから、サーバ搭載タイプのフラッシュストレージよりは遅延(レイテンシ)は大きい。それでもディスクアレイに比較すると桁違いの性能が得られる。なお、キャッシュメモリとしてDRAMを搭載するものとしないものがある。またDRAM搭載モデルでもその容量が大きく違う場合がある。

フラッシュモジュール(左)とオールフラッシュアレイ(右) 図1 フラッシュモジュール(左)とオールフラッシュアレイ(右)の外観例(出典:日本IBM)

 弱点はメディア単体の容量がHDDに比較して少ない上に高価格であることで、2013年の国内発売からしばらくの間は、一般的なディスクアレイのような汎用(はにょう)ストレージというよりも特定アプリケーションのための高速ストレージとして使われることが多かった。

 しかし現在は容量に対するコストも下がり、2015年からは汎用の共有ストレージとして利用されるケースも出てきている。図2に示すように、データベースや業務アプリケーションから仮想デスクトップ、仮想サーバ環境にまで利用領域が広がっているのだ。2015年中には3TB超の容量のSSDの登場が予定されており、6TBまでの容量拡大の見込みがある。価格面はまだ不明だが、HDDの置き換えはますます進みそうだ。

オールフラッシュアレイが活用されている主な領域 図2 オールフラッシュアレイが活用されている主な領域(出典:EMC)

 中には「SASディスクアレイよりも低コスト」をうたうオールフラッシュアレイも登場している。10TBから20TB程度でSASディスクアレイと同程度の価格になるという。オールフラッシュアレイは一般にFC SANを利用するブロックストレージなのだが、こちらはNAS。高速性を生かしながら、ストレージアレイとしての機能性と低コスト性を重視した製品になっている。同シリーズ内にハイブリッド型のフラッシュアレイもラインアップしており、スケーラビリティと価格で選べるようにしている。

多様なデータ管理機能を備えたフラッシュアレイ 図3 多様なデータ管理機能を備えたフラッシュアレイ(出典:ネットワールド)

 ハイブリッドアレイはコストと性能のバランスをとるためにストレージを階層化して、アクセス頻度が多いデータは高速なフラッシュメディアに置き、あまりアクセスされないデータは安価で大容量なHDDに保管する方法をとる。

 これなら容量不足はHDDの追加によってあまりコストをかけずに解決できるため、気軽に高速化のメリットを享受できる。頻繁にアクセスされるデータを上手にフラッシュメディアに集約できれば、場合によっては9割程度のデータを処理できるとも言われているため、業務に適合性があれば有利な選択になるだろう。

 また同様にフラッシュメディアとHDDを共存させながら、全データはHDDに保存し、フラッシュメディアはキャッシュとして運用するタイプもある。キャッシュヒット率の高いアプリケーションにはこの方が向いていよう。高速性が求められるのでフラッシュメディアは高価なSLC(後述)を使うことになる。

 ただし、オールフラッシュアレイの容量が増え、コスト面でも求めやすくなってきたことから、ハイブリッドアレイはかつてほど注目されなくなっているのが実情のようだ。階層化は管理の複雑化を招き、キャッシュとしてはDRAMを使う選択もある。業務にどのような利点があるかをよく考える必要もあるだろう。

コラム:サーバサイドのフラッシュメディアとの違いは?

 スケーラビリティに関してはサーバ搭載タイプではドライブベイの数が数個のサーバがほとんどであり、PCIeスロットの数はさらに少なく、フラッシュメディアそのものの容量もさほどでないことから、スケールアウトもスケールアップも限定的になる。容量追加が頻繁に必要になる場合には、ネットワークベースの共有ストレージアレイが妥当な選択になろう。

 また可用性の面からもサーバサイドフラッシュの場合は障害が起きるとデータを失う可能性が高い。ただしレイテンシは数百マイクロ秒レベルである。外付けアレイのレイテンシが1ミリ秒レベルなので高速性では優れている。データ保護要件の低い業務には好適だ。また保護が必要なデータは外付けストレージに保管することを前提にして、高速処理が必要なデータだけを対象に利用する使い方もある。

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