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ついに「802.11ac Wave2」が登場、最新無線LAN事情IT導入完全ガイド(2/5 ページ)

» 2015年08月24日 10時00分 公開
[酒井洋和てんとまる社]

Wave2が出そろうのはいつ?

 現状では、既存の802.11ac Wave1製品に比べて3〜5割程度アクセスポイントが高価な状況にあるが、2015年の年末から2016年はじめにかけてミドルレンジの汎用APが登場すると見られている。

 ただし、Wi-Fi Allianceの認定プログラムがはじまっていないことからも、現状本格導入に至る環境が整備されている状況にはない。認定プログラムは2016年のQ2ごろに予定されており、そのあたりから普及が進んでいくものと考えられる。

 ちなみに、クライアント側はドライバレベルの変更で802.11ac Wave2対応可能なものもあるようで、ソフトウェアアップグレードでMU-MIMOに対応できるようになるケースもある。

802.11ac規格化の流れ 図3 802.11ac規格化の流れ(出典:シスコシステムズ)

高密度環境で安定した通信を可能にする機能

 無線LANを快適に利用するためには、無線空間における「エアタイム」を利用者へ平等に振り分けることが必要だ。そうすることで、数十人規模が同時にアクセスしてもそれぞれ快適なレスポンスを提供することが可能になる。

 そのためには、データレートの低い端末を可能な限り排除することが重要になる。低いレートの端末が無線空間を占有してしまうと、他の端末が通信できなくなってしまい、結果として全体のスループットが低下してしまうためだ。

 具体的には接続データレートに閾値を設けて低レートな端末の接続を行わないようにしたり、いったんつながっていた端末が離れていく場合もデータレートによって他のAPへの移動を促したりなどの機能が実装されている。場合によっては、強制的に接続を解除し、他のAPに誘導するといった機能を提供しているものもある。

 他にも、全体的なスループットを向上させるために貢献する技術がある。それがビームフォーミングと呼ばれるものだ。一般的に、802.11ac Wave2を利用して高速なデータレートで通信できる範囲は、実際にはとても狭いのが現実で、恐らく数メートル範囲でしか高速通信は難しい。

 そこで、電波の位相を調整して受信感度をあげるビームフォーミングで位相を調整し、遠くであっても強い電波を送るような仕組みを実装しているところもある。このビームフォーミングは、チャネル干渉を回避するための技術としても利用されている。

 なお、通常ではネットワークに接続していないとAPを探しにプローブを発生させるが、このプローブも無線空間を圧迫する1つの原因になる。通信は行わないものの、多くの端末を接続状態にしておくことも無線空間を快適にするための機能となってくる。

コラム:電波を受けるのは垂直か、水平か?

 一般的に電波の飛び方は、地面に対して垂直方向か水平方向に飛ぶ。これはアンテナの種類によって決まるが、電波を強く受ける場合は垂直の波であれば垂直に受け取る方が受信感度が上がる。できる限りスループットを高めたいのであれば、こういったこだわりにも目を向けておきたい。

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