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サービスデスクツールの効果が分かる3つの事例IT導入完全ガイド(5/7 ページ)

» 2015年06月22日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

事例3:リリース業務の自動化、進捗可視化で内部統制を実現

 大手企業傘下のグループ企業約40社のシステムを支えるC社は、毎月100を超えるプログラムをリリースする。従来は開発から導入までを開発部門が担当、安定稼働ができるようになってから運用管理部門が担当する仕組みをとってきたが、内部統制の観点から開発と運用は明確に分離する方針に転換した。

 この際に問題になったのが、プログラムのリリースにあたってのワークフローだ。これには開発担当者が申請書、手順書、テスト資料などの約400書類を関係部署に回覧して承認を得る手続きがいる。これを電子化ワークフローにうまく乗せ、自動化する仕組みが必要とされた。

 そこで同社が数ある候補の中から選んだのは、運用管理の手順を自動化する「ランブックオートメーション」機能をもった製品と、同じ製品ファミリーの中のサービスデスクツールだった。リリース時には、開発担当者がサービスデスクツールから申請、開発の上司が承認すると、運用部門の課長、運用担当者の順に4段階の承認フローを経て、指定した時間に手順書(ランブック)に従った自動処理が行われて、対象システムへの配布や自動更新が完了する。申請と承認、実際の処理の記録が確実に保存されるため、監査の場合でも証跡が簡単に提出できるようになり、負荷軽減ばかりでなく監査時間も短縮できたという。

 運用管理ツールとサービスデスクツールの連携によれば、このような申請・承認ワークフローの進捗に従った自動処理(ジョブスケジューリングとバッチ処理)はリリース管理に限らず幅広く応用が可能だ。運用管理の窓口業務の負荷軽減ばかりでなく、運用オペレーションの自動化・標準化による負荷軽減、時間短縮、ヒューマンエラーの入り込む余地をなくした品質向上が図れよう。

 サービスデスクツールと統合運用管理ツールの連携 図7 サービスデスクツールと統合運用管理ツールの連携で申請・承認ワークフローと自動処理を合体(出典:NRI)

 以上3つの事例が示しているのはそれぞれ、「インシデント受付窓口の統一とその後のプロセス合理化による問合せ時間・工数削減」「セルフサポートによる自己解決促進」「運用管理オペレーションとワークフローの連携・自動化」という、いわばサービスデスクツールの3大注目ポイントだ。もちろんこうした視点以外にもさまざまな利点がある。その説明も交えながら、次は製品選びのポイントを考えてみよう。

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