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» 2015年06月18日 10時00分 公開

ウェアラブルデバイスのビジネス活用に未来はあるのか?すご腕アナリスト市場予測(1/4 ページ)

Apple Watch市場投入で活気づくウェアラブルデバイス。新たなデバイスのビジネス活用について、アナリストがその未来を予測する。

[亀津敦,野村総合研究所]

アナリストプロフィール

亀津 敦(Atsushi Kametsu):野村総合研究所 IT基盤イノベーション本部 ITイノベーション推進部

1996年東京大学経済学部卒業後、精密機器メーカーの情報システム部門・経営企画部門勤務を経て、2000年に野村総合研究所に入社。情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。専門は、情報系システム全般(主にEIPやナレッジマネジメント)と、ユビキタス・ネットワーク技術の知識分野への応用など。


 「ウェアラブル」というキーワードは2014年に注目され、先行していたGoogle Glassの話題性とApple Watchの市場投入とともに身近なデバイスの仲間入りを果たそうとしている。そんなウェアラブルデバイスは今後どのような進化を遂げていくのか、実際のビジネスシーンではどんな活用が期待されているのか、新たなデバイスに関する興味は尽きない。そんなウェアラブル市場の今をおさえながら、ウェアラブル市場の近未来を概観していく。

新旧交錯するウェアラブル市場

 2015年4月、ついにApple Watchが発売になった。これまで先行して市場に投入されていたスマートウォッチと比較して高めの価格設定にもかかわらず、ファッション性が話題になって予約しても手に入れるまで1カ月程度かかるほどの出足となった。

 「ウェアラブル」というキーワードは2014年に非常に注目されたが、巨大プレーヤーのアップルが動き出したことで、一気に一般の生活者の間にも認知が広まった感がある。その一方で、2015年1月にGoogleが「Google Glassの一般ユーザー向けの発売を終了する」という旨の発表を行ったことが話題になった。このニュースをもって「Google Glassは失敗だった」と評する論評も一部にはあった。

 新たに華々しく登場するデバイスと、一般ユーザー向けには影をひそめるデバイス、一見すると発展と停滞が入り交じっているように感じられ、ウェアラブル市場のトレンドが読みにくい時期ともいえるだろう。2015年以降のウェアラブル市場はどこに向かうと見るべきだろうか。

生活者向けに広がりを見せるウェアラブルデバイス市場

 Apple WatchやGoogle Glassなど、メディアで大々的にそのすう勢が取り上げられるデバイスの陰で、2015年に入って「ウェアラブル」を冠したさまざまなデバイスが市場に登場している。

 スマートウォッチに注目が集まる中、2014年に研究中の段階にあったウェアラブルデバイスが2015年に入って、実際に市場に投入され始めている。その典型的なデバイスは、「Smart Clothing」と呼ばれる衣服型のウェアラブルデバイスだ。

 2014年初頭に、NTTと東レは心拍数などの生体情報を取得することができる生体情報計測用ウェア「hitoe」の共同開発を発表していた。Tシャツを構成する素材が導電性の高い新素材となっており、体に密着して生体情報を取得することができ、これまでのウェアラブルデバイスよりも装着性を損なうことなく心拍数を測り続けることができる。この「hitoe」を実際に利用したトレーニングウェアをゴールドウィンが製品として2014年12月に販売を開始し、2015年に入ってから本格的に市場で入手可能になった。

2015年に登場、進化したウェアラブルデバイス 図1 2015年に登場、進化したウェアラブルデバイス(出典:NRI)

 海外でも同様の衣服型ウェアラブルデバイス(正直「デバイス」とは呼びにくいが……)が市場に登場し始めており、カナダのOM Signalの製品は心拍に加えて呼吸数を把握することが可能で、人の「ストレス度合い」を図ることが可能だ。また、シリコンバレーのスタートアップ企業、MAD ApparelのSmart Clothing「Athos」は、心拍や呼吸数に加えて衣服の中に埋め込まれた筋電計センサーで筋肉の動きを測ることもできる。

 以上は生活者向けのヘルスケア・フィットネス分野のウェアラブルデバイスの進化の例であるが、おおむねデバイス市場が本格的に立ち上がった2014年から開発が進んできたデバイスが2015年になって市場投入されてきている典型的な例である。

 搭載されるセンサーの機能の向上、種類や数の拡大はウェアラブルデバイスによって捉えられるデータや人々の行動が拡大していくことにつながる。将来的には、そのようなデータを活用した健康見守りサービスやフィットネスに関するアドバイス、データに基づいたスポーツや楽器の指導といったコンシューマ向けサービスの高度化に発展していくことが想定される。

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