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» 2015年05月27日 10時00分 公開

地下街でも居場所が分かる「地磁気データ屋内測位」とは?5分で分かる最新キーワード解説(4/4 ページ)

[土肥正弘,ドキュメント工房]
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来るべき「ロケーションビッグデータ」活用の時代に向けて

 NRIでは、2020年オリンピック/パラリンピック東京大会に向け、海外からのゲストに対してもよりきめ細かい「おもてなし」が提供できるようにしたいという。ただし、同社も国内の他の屋内測位技術開発企業も、将来的に目指すのはモバイルデバイスの位置情報(ロケーションビッグデータ)を利用したマーケティングの高度化だ。

 測位技術を利用しながら、エリアごとの人口統計を行えば、例えば小売店の出店計画、販促計画を最適化するのに役立つ可能性がある。また、店舗内での動線を分析すれば、品ぞろえや棚配置などを最適化できるだろう。自動販売機の設置や品ぞろえの裏付けデータもとれる。

 また、移動情報は個人の属性を反映することから、より正確なターゲティング広告に活用可能だろう。自治体や官公庁にとっては、防災計画、街づくり、観光、地域活性化に役立てることも期待できる。

 図3には、NRIが予想する「ロケーションデータの活用によるサービス進化のロードマップ」を掲げる。これに見るように、現在は来るべきロケーションビッグデータ活用の時代の基礎固めの時期にあたると見てよいだろう。地磁気データ屋内測位技術は、こうした各種技術とサービスを支える1技術として重要だ。他の位置データ関連技術とサービスについても、今後はこれまで以上に注目する必要がありそうだ。

ロケーションデータの活用によるサービス進化のロードマップ 図3 ロケーションデータの活用によるサービス進化のロードマップ(出典:NRI)

関連するキーワード

カメラ画像測位(3次元認識)

 先進的なカメラ画像測位技術を用いた例として、Googleが開発中の三次元空間把握機能を搭載した「Project Tango Tablet」を用いたデジタルキオスク搭載の次世代ショッピングカートの研究がある。

 米国の小売業者Walgreensと、屋内ロケーションサービスプラットフォームベンダーのaisle411.が取り組んだもので、タブレットに組み込まれた3Dセンサーとカメラによって、3次元マップをリアルタイム生成、拡張現実感を利用した表示により、店内のナビゲーションに役立てた。

「地磁気データ屋内測位」との関連は?

 同じ屋内測位に役立つという部分以外に関連はない。地磁気データ屋内測位の場合は特殊な端末は不要で、地磁気センサーを搭載したスマートデバイスがあればよい。カメラのカバー範囲よりも広い範囲に適用できる。正確な絶対位置が測定できる地磁気データ屋内測位とゲーム感覚でのサービス利用が可能な三次元空間把握機能との組み合わせによれば、新しいサービスを生みそうだ。

PDR(歩行者自律航法)

 GPSなどを利用して屋外で現在地を決めておき、屋内に入ったらスマートデバイスに内蔵された加速度センサーと地磁気センサーを利用して、数値変化を基に相対的な位置変化を推定する測位方法。使うほどに測位誤差が大きくなるので、同一エリアの他のスマートデバイス利用者などとのピアtoピアWi-Fi通信を利用して、それぞれの誤差を補正する仕組みも使われ、GPSと同程度の精度での屋内測位が可能とされる。

「地磁気データ屋内測位」との関連は?

 地磁気データ屋内測位では絶対位置が2メートル程度の誤差で測定できるので、これを起点にしてPDRを開始し、PDRによる位置補正、地磁気データ屋内測位による絶対位置を利用した補正を要所要所で行えば、どちらの測位技術よりも精度が上がる可能性がある。PDRだけでなくiBeaconはじめ他の屋内測位技術を組み合わせた「ハイブリッド測位」によって、精度は向上できそうだ。

iBeacon

 AppleのiOS端末に搭載されるBluetooth Low Energy(BLE)仕様の近距離通信技術。店舗などにビーコン信号を発信する装置を設置し、そこに近づくスマートデバイス利用者の端末に情報をプッシュ配信できる。

 プッシュされるのはiBeaconの端末を特定するためのID情報などで、専用のアプリがインストールされていればアプリが自動起動し、コンテンツを表示できる。

 iBeaconからのおおよその距離(例えば、数センチ、1メートル、10メートル程度など)を把握することも可能で、例えば店舗前を通りすがりの人にはセール情報を表示し、入店し特定の棚の前に滞在したらクーポンが表示されるといった距離別のサービス使い分けも可能だ。

「地磁気データ屋内測位」との関連は?

 地磁気データ屋内測位技術はiBeaconと違い、スマートデバイス単体でのマップナビゲーションが提供でき、広いエリアをカバーできる。位置情報を基にした情報発信も、アプリとサービスの作り方次第で可能ではあるが、アプリを自動起動することはできない。そこでiBeaconと組み合わせ、正確な測位情報に基づいた情報プッシュをすることにより、O2Oマーケティングなどの品質向上が可能と考えられる。

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