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クラウドメールは機能性とUIで選ぶIT導入完全ガイド(3/7 ページ)

» 2015年05月11日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

Office 365とGoogle Appsの違いは?

 クラウドメール市場はグローバルに寡占化が進んでおり、コンシューマ領域からビジネス領域へと切り込んできたGoogle Appsと、エンタープライズ領域でオンプレミスシステムの技術資産を継承したOffice 365の2つが圧倒的なシェアを占めており、日本ではNTTコミュニケーションズやサイバーソリューションズなど国内ベンダー数社と、国内シェアの高い「Notes/Domino」の機能を継承、発展させたIBMが、それぞれの顧客関係性の深さやサポート能力を背景に、手堅く独自性あるサービスを提供している状況だ。

Google AppsとOffice 365の特徴は?

 シェアの大きさやグローバルでの普及状況から見て、Google AppsとOffice 365は選択肢から外せない。どちらも機能項目はよく似ている一方で、顕著な違いもある。1つはベンダーによるサポートの手厚さだ。どちらも海外産とはいえ日本語でサポートしているが、マイクロソフトは日本法人が古くから企業システムへのサポートを提供しており、Googleとのサポートの差は歴然としている。

 また機能追加や変更のロードマップが公開されているか否か、つまりある日突然機能が変わるようなことがあるかないかも、運用管理スタッフにとっては重要な視点になろう。突然インタフェースが変わる印象のあったGoogleも、最近ではプロセス(オプトイン→オプトアウト→新画面へ統合)を経てインタフェース変更を行うようになり、管理者負荷は軽減しているようだ。もっとも国内ではSIerが間に入り、サポートや教育を肩代わりしてくれるサービスがあるため、その利用を前提とすれば解決可能なポイントではある。

 エンドユーザー視点からの最も大きな違いはUIだ。オンプレミス用のビジネス向けクライアントメーラーがほとんどOutlookライクなUI設計なのに対して、Google Appsはコンシューマ向けと同じようにWebブラウザ上でGmailを使うことになることが多い。

 IMAPやPOPにも対応しており、既存メーラーも利用可能ではあるが、他機能と統合されたWeb UIからメールだけ切り離すのは得策とはいえないからだ。アイコンなど直感的なUIが採用されてはいるが、移行すればユーザーサポートや教育の負担も当初は増えることは覚悟する必要がありそうだ。なお、管理担当者のためのUIも、従来のメールシステムとは異なる。参考までに管理画面を図2に示す。

Google Apps(左)とOffice 365(右) 図2 Google Apps(左)とOffice 365(右)の管理画面の例

コラム:気になる中国との相性は? グレートファイアウォール越えはどうなる?

 クラウドメールはグローバル展開する企業にとって非常に使いやすい選択肢だが、特に中国でのグレートファイアウォール(ネット検閲)によってVPNで日本の拠点を経由しないとGoogle Appsなどが使えないことに注意が必要だ。

 基本的に暗号化通信は遮断される可能性があることから、中国でのクラウドメール利用は悩ましい。といっても2014年にはOffice 365が中国国内で提供されており、アジアにデータセンターの一部を置く日本のクラウドメールベンダーも中国からの利用を可能にしていて、グレートファイアウォールは越えられない壁ではない。ただし国際情勢によっては今後もトラブル発生の可能性は残ると考えなくてはいけないようだ。

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