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無意識の動作で未来を予測する「ドライバー挙動解析渋滞予測」とは?5分で分かる最新キーワード解説(3/4 ページ)

» 2015年02月18日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

シミュレーションで分かった走行相の判別法

 シミュレーションは、自由走行相、メタ安定相、渋滞相が存在する高速道路のモデルを利用し、20人の被験者に模擬走行してもらい、ステアリング操舵角度、スロットル開度、速度の計測を行った。その結果の一例は図3のようになり、自由走行相とメタ安定相では明らかに違う特徴を見いだすことができた。

走行データの分析例 図3 走行データの分析例(出典:芝浦工業大学 運転支援システム研究室)

 しかし、被験者によって運転の「クセ」が違い、特徴の表れ方に個人差があることも同時に分かった。図3の被験者の場合は速度変動と操舵量に特徴が表れるが、他の被験者の場合は操舵量よりもスロットル変化の方が特徴的な変化を示すといった具合だ。

 このような個人差の影響が出ない特徴量を抽出するのが次の課題だ。伊東教授はそれぞれの走行相の各計測値の変化の振幅を周波数成分の分布の違いとして捉え、その分散値をとることにした。

 分散の検討には、このような非線形性を示すデータのパターン分類や、多変量の処理を行うのに好適なニューラルネットワークシステムが利用された。その結果を、「ステアリング操舵角度」「スロットル開度」「速度」の周波数成分分散値を3次元にプロットしたのが図4だ。

3つの計測値の周波数成分分散を3次元プロット 図4 3つの計測値の周波数成分分散を3次元プロット(出典:芝浦工業大学 運転支援システム研究室)

 図4に見る通り、3次元グラフには自由走行相とメタ安定相の特徴がくっきりと分離できた。個人差を超えて、ドライバーモデルとして利用できることが分かる。

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