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サービス復旧の視点から考える、バックアップツール活用術IT導入完全ガイド(5/5 ページ)

» 2014年12月22日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]
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サービスの早期復旧をコスト最適に実現するツールは何か?

 自社に必要なのはレプリケーションなのか、イメージバックアップなのか、ファイルバックアップなのか、テープによる長期保管が必要か否か、さらに遠隔拠点を利用したデータ保護やサイト二重化などの対策までを求めるかなどの企業固有の条件により、ツールの選択肢は変わる。

 あらゆるデータ保護の手法が利用できる包括的なソリューションを提供しているベンダーもあれば、個別の手法に特化したツールもある。また、スケーラビリティーにも差がある。利用できる機能、対応するテープライブラリの種類、対応OSなどにも注意して製品を選びたい。

 ソフトウェア製品の場合はライセンスは「保護対象サーバ単位」「CPUソケット単位」「データ容量単位」「管理サーバ単位」などの種類があり、多様なオプションそれぞれに「ユーザー単位」「ドライブ単位」などの細かいライセンス体系をもつものもある。将来を見越したデータ保護環境に即して適切なコストで導入、運用できる製品を選びたい。

 アプライアンスの場合は本体価格のみで済み、追加ライセンスが不要なものもあるため、トータルでコスト面で大きな差が出る場合がある。

ローカルでの高速リストアと遠隔拠点での統合バックアップの両立

 拠点内で複数サーバのバックアップデータを保持して障害時にローカル環境内でリストアできる仕組みと同時に、遠隔地にあるセンター拠点やデータセンターで複数拠点のデータを統合管理、保管して災害対策としたいニーズもあるだろう。

 これには各拠点にバックアップサーバやアプライアンスを立てて、そこからのリストアを可能にしつつ、センター拠点にデータを吸い上げる仕組みがあればよい。

 最新バックアップツールでは、複数サーバの統合バックアップを行うサーバを復旧ポイントサーバ(RPS:Recovery Point Server)と呼び、ソフトウェアを無償で利用できるものがある(図5)。サーバマシンは必要だが、ソフトウェアコストが節約できる。上述した重複排除が多段階で実行できるメリットもある。

RPSを利用したローカルおよび遠隔拠点での統合バックアップのイメージ 図5 RPSを利用したローカルおよび遠隔拠点での統合バックアップのイメージ(出典:Arcserve)

仮想環境と物理環境の統合バックアップが可能か

 仮想サーバのバックアップは、仮想サーバにエージェントを導入して物理サーバの場合と同様にバックアップを行う手法と、ハイパーバイザにエージェントを導入して、個々の仮想サーバはエージェントレスでバックアップを行う手法とがある。後者の方が運用管理上は負担が少ない。なお、物理サーバ、仮想サーバのバックアップのどちらにも、同一の管理画面が利用できるようなツールが使いやすいだろう。

中小規模のバックアップに好適なディスクカートリッジも選択肢

 中小規模のシステムには別の選択肢もある。業務サーバ構築時にDATなどを利用するバックアップシステムが同時に導入されることが多いが、それをディスクで代替すれば、リストアの際の手間を省き、早急なサービス再開が可能になる。

 例えば、図6のようなコンパクトでサーバ機のドライブベイにセット可能なディスクカートリッジをテープと同様に利用できる。ディスクカートリッジをセットした状態でのスケジュールに沿った定期バックアップやカートリッジのセット時に自動バックアップを行う設定が可能だ。

ディスクカートリッジを利用したスタンドアロン、統合バックアップ、リストアのイメージ 図6 ディスクカートリッジを利用したスタンドアロン、統合バックアップ、リストアのイメージ(出典:タンベルグデータ)
ディスクカートリッジを利用したアプライアンスのバックアップ運用の例 図7 ディスクカートリッジを利用したアプライアンスのバックアップ運用の例(出典:タンベルグデータ)

 クライアントPCとのデータ同期、スタンドアロンサーバのバックアップ、各種業務用サーバの統合バックアップなど、さまざまな構成に対応できる他、ディスクカートリッジはドライブから取り出して電源なしで保管可能なので、従来のテープ運用の手法がほとんどそのまま踏襲できるのもメリットになる。

 また、障害サーバ用の最新バックアップをディスクカートリッジに書き出し、サーバ復旧後にはオフラインで各サーバに接続してリストアできる。テープ運用に近い運用法で利用できる一方、リストアのスピードはディスクならではの高速性が見込める。

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