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» 2014年10月14日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:日本企業から派閥を一掃? タレントマネジメントの今 (3/4)

[小池晃臣,タマク]

「タレントマネジメントツール」機能とは?

 タレントマネジメントの円滑な実施をITによって支援するのが「タレントマネジメントツール」だ。日本におけるこのツールの普及もまた2010年ごろから本格化した。

 タレントマネジメントツールは、他の業務システムのように業務プロセスを厳格に実行するものではない。単純に言えば、人材に関する情報を蓄積して管理し、必要な人材を検索によって探し出し、適切な配置につなげていくツールだ。

 誰にどの仕事をどこのポジションでやってもらえば最もビジネスに貢献できるかといったアサインメント、どういう人材に育てるべきなのかといった人材育成計画を支援する機能を有するシステムを総称してタレントマネジメントツールと呼んでいると言っていいだろう。

 その肝となるのは、全社の人員の情報が蓄積されたデータベースだ。基本的には、人事給与システムが扱う所属や役職、勤続年数、給与などのデータの他、コンピテンシースキルとその評価、資格、研修履歴、過去の職歴など、多岐にわたる情報が集約される。そうして構成されたグローバル規模の大量の人材データから、ある条件ごとに最適な人材を検索によって発見できるようになっている。

タレントマネジメントツールの機能領域 図2 タレントマネジメントツールの機能領域(出典:アビームコンサルティング)

 例えば、ある人員の後任者を探す場合、現在所属する国や部門から異動可能かどうかのモビリティ情報を踏まえて適切な候補を提示できる。また、ある研修を実施する場合には、個々のキャリアの志向や育成課題なども含めて精査し、その研修を受けるのにふさわしい人員を割り出すことも可能となる。さらに、採用時の結果と入社後の評価を比較分析をすれば、採用方法の改善を含めた人事施策の決定にもタレントマネジメントツールは貢献できる。

「タレントマネジメントツール」導入目的とメリット

 タレントマネジメントツールの最大の導入目的は、やはりグローバル化への人事面での対応にある。そしてこのグローバル化に伴うBCP(業務継続計画)を目的とした導入も昨今では増えつつある。

 もしも経営幹部や管理職が急に倒れ、しばらく業務を行えなくなったような場合に、最適な人材をより迅速に後任に配置することは企業の存続のためにも非常に重要だ。グローバル化が進むと人員が分散してなかなか最適な人材を見つけ出すことは難しい。自然とタレントマネジメントツールが必要となる。

 このように、今までは「見えなかった」人材を可視化できることが、タレントマネジメントツール導入の大きなメリットだ。

コラム:派閥消滅で左遷フラグ確定? タレントマネジメント事情

 人と職務がきちんと分かれていない日本企業で大きな壁となるのが、後任者などの任命だ。欧米企業の場合、組織や人の壁を超えて空いたポジションに最適な人員を探して後任者として任命することができる。しかし日本では、「A部長の後任はA派閥で最年長のBさんでしょう」といったように、職務や能力とはほとんど関係のない人間関係での暗黙の了解が存在することが多い。

 こうした派閥主義にも、気心の知れた安心できる人間に任せられるなど良い面はあるだろう。しかしグローバルで人材を配置しようとした場合には、ごく狭い範囲でしか人材を管理できない人物本位の後任者選びではとても対応できない。しかも、激化するグローバルでの市場競争の中では、より広い範囲から最適な人材を見つけて後任に配置できなければ、企業として競争力の低下を招いてしまうおそれすらあるのだ。

 さらに、派閥や学閥がなくなり、自分のスキルがオープンに評価されるようになれば、やる気のある社員にとってはモチベーションの向上にもつながるし、一方、派閥が消滅することで「左遷フラグ」が確定し、追い出し部屋行きを余儀なくされる可能性が出てきてしまう人もいるだろう。グローバル企業を目指すのであれば、派閥などは思い切って捨て去ってしまう勇気が必要だ。

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