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» 2014年03月24日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:小型化や寿命の延び、「UPS」5つの進化 (1/4)

大震災から3年、電力不安からUPSの見直しや新規導入した企業は多いが、そろそろ保証期間が終わる。次の一手としてどんなUPSが登場したのか。小型化や寿命の延び、電源管理など「5つの進化」に迫る。

[土肥正弘,ドキュメント工房]

 大震災後の電力不安からUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)の見直しや新規導入を検討した企業は多いことだろう。短時間の給電停止でも、ITシステムには大打撃。そこでサーバなどの安全なシャットダウンまでの時間を稼ぐUPSの存在がクローズアップされた。

 データセンタでは当たり前のUPSではあるが、部門管理のサーバやPCはどうだろうか。また、ネットワーク機器やNASはどうだろうか。エンドユーザーの管理に任されることが多い機器ほどUPS配備が行われておらず、不安要素が残る環境が少なくない。

 あれから3年、新規導入したUPSもそろそろ保証期間が終了する。次の一手としてのUPS導入とリプレースはどんな視点で検討すればよいのか。今回は特に中型と小型UPSに注目し、その進化と用途の広がり、そして選び方を紹介する。

「UPS」5つの進化

 最初にUPS導入意義を簡単におさらいしておこう。停電が起きて電源が失われると、ITシステムではコンピュータのメモリ内のデータがセーブされず、その時点での取引データや作業内容が失われると同時に、HDDが書き込み途中であれば当該セクタが破壊されたり、ディスクそのものが傷ついてHDD全体が使用できなくなったりすることがある。

 機器はリプレースできるとしても、データが失われると業務上に取り返しがつかない深刻な影響が生じかねない。そんな事態が起こらないように、停電が発生したら瞬時にバッテリーで給電し、IT機器などが停止しないようにするのがUPSだ。

 いわば万一の停電に備えた「保険」といえよう。保険であるなら、なるべく少ない掛け金(価格や保守コスト)で手厚い保障(さまざまな電源障害の影響排除)を受けたいものだ。近年、この保険はますますユーザーに有利になってきている。

コンパクト化して用途が拡大

 最近の変化の1つはコンパクト化だ。デスクトップPCやオフィス内設置の部門PCサーバで重要な業務データが扱われることが多い昨今、そうした機器にもUPSが求められており、オフィス内設置のためにはできるだけ小さい方がよいのは確かだ。

 また、災害時リスク分散の意味で小型UPSの利用価値が再認識されてもいる。大型UPSで複数のサーバや周辺機器をバックアップしていると、万一のUPS自身の故障などの際にシステムに及ぶ影響が大きいが、個別機器に小型UPSを1台ずつ装備するような構成なら、影響を局所化できる。加えて、NASやPOS、ATM、各種FA機器などの電源バックアップニーズも増えており、小〜中型のUPSへのニーズは高まるばかりだ。

 特に小〜中型のUPSはバッテリーの技術開発と内部回路設計の洗練が進み、コンパクト化と大容量化が顕著だ。その例を表1に示す。これは特にPC電源バックアップに使いやすい最新小型UPSの各社推奨モデルだ。

メーカー3社の推奨小型UPS 表1 メーカー3社の推奨小型UPS

 外形寸法はちょっと大きめのセカンドバッグといったところ。高性能サーバの複数台接続には荷が重いが、PC1台と外付けHDD、ネットワークスイッチなどの電源くらいなら1台で供給できる。実勢価格は1万数千円から2万数千円程度であり、クライアントPC用として大量導入が検討できるレベルになってきた。

 これより上位のクラスでも、図1に示すような大幅な体積削減、軽量化が進んでおり、同じサイズの機種なら容量が拡大している。スペースが少なくて済むことから、PCの横や机の下などへの設置が可能になり、オフィスへの適合性は高くなっているといえるだろう。

 もちろんラックマウントの場合でも、3Uサイズが2Uに、2Uが1Uになるといったスリム化が図られており、空いた棚を有効活用できるようになっている。

UPSはコンパクト、軽量、大容量に 図1 UPSはコンパクト、軽量、大容量に(出典:ユタカ電機製作所)

 さらにコンパクトなリチウムイオンバッテリー搭載小型UPSも登場した(図2-1、図2-2)。まるで家庭用ルーターのようなサイズと形状の製品だ。これでも500VA/300Wの給電が可能で、100VA(60W)の出力なら20分のバックアップが期待できる。

 この機種は、ネットワーク接続されている機器の死活を監視し、ハングしている機器があれば、その電源を自動的に落として再投入する機能を標準で持つ変わり種だ。ルーターや光回線の終端装置(ONU)のリブートを想定している(障害復旧の大半はリブートで済む)。障害時には一定時間ネットワークを維持する役目を果たし、平常時には障害回復を自動化するので一石二鳥。ネットワークにもUPSを接続するという新しい用途が見えてきた。

リチウムイオンバッテリー搭載の小型UPSリチウムイオンバッテリー搭載の小型UPS リチウムイオンバッテリー搭載の小型UPS(出典:シュナイダーエレクトリック)
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