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脱Windowsなるか? Windows Server 2003の行方すご腕アナリスト市場予測(4/4 ページ)

» 2014年02月20日 10時00分 公開
[入谷光浩IDC Japan]
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Linux系OSへの移行

 その次の選択肢が、格安なコストで導入できるLinux系OSへの移行だ。Linux系ではRed HatとCentOSが企業ユースによく使われている。Red Hatのよさはサポートの手厚さであり、CentOSは価格面で優れている。両者の相性はよいので、例えばフロント系業務にはCentOSを使い、課金などバックエンドにはRed Hatを使うという選択もあり得る。最近のPaaSではCentOSを提供する例が増えているようだ。

 ただし、オープンソース製品は基本的に利用者の責任で使うものであり、ベンダーのサポートがあっても限定的な場合が多い。さらに手厚いサポートサービスがSIerやシステムベンダーから提供されているので、その契約をした上で導入、移行するのも1つの手だ。

 しかし、それにしても専門知識と運用スキルのある技術者が社内にいなければリスクが高いと考えられる。人材確保が容易な大企業では既に業務システム用としての利用が進んでいるものの、中堅中小企業では難しいところだ。

 また、従来のシステム運用管理手法が簡単に踏襲できないことも問題だ。特にActiveDirectoryによるID管理を行っている場合、その移行には相当の困難が伴うことがある。

従来通りにサーバを使い続ける「延命策」

 上記のどれもが実行できない場合、Windows Server 2003をそのまま使い続けることになってしまう。言うまでもないが、サポート切れ以降は脆弱性をなくすための特効薬であるセキュリティパッチが提供されなくなるので、新しいウイルスや不正アクセスに対して弱点を持つことになる。外部ネットワークにつながるサーバとしては危険なものになることは認識しておかなければならない。

 社内のみで利用し限定的な用途に使われるサーバなら、当面の間は利用し続けられるだろう。ただし、確実にハードウェアは老朽化し、ハードウェアサポートも徐々になくなっていく。それでも延命を図る場合には、サーバを仮想化して新しい物理サーバに収容することを考えなくてはならない。

 このような用途には、従来、大手企業の大規模システムを中心に、管理機能に優れたvSphereがよく使われてきた。事例が豊富なので、まずは手始めにこれを使い、サーバ仮想化技術のノウハウを獲得するとよいかもしれない。

 また、中堅・中小企業では、Hyper-Vの利用が進んできた。物理サーバ用のOSを購入すればHyper-V自体は無料なので、こちらを利用してもよい。この両ツールで機能面・性能面での違いは少ないといわれている。

 なお、仮想環境で既存システムを運用するときは、パフォーマンスに注意する必要がある。物理リソースが少ない、または性能が低い物理サーバでは、従来通りのレスポンスが達成できない。既存サーバを載せる物理サーバのスペックと、その上で同時に稼働させる仮想サーバの数と種類、性格を勘案して、十分なキャパシティーを確保することに留意したい。

デットラインは過ぎている、システム移行のスケジュール

 さて、ここまでWindows Server 2003の現在に利用状況、新OSやクラウドへの以降障壁、移行先の選択肢について述べてきたが、2015年7月というサポート切れのタイミングから逆算すると、システム移行のための検討段階は本当ならもうデッドラインを過ぎている。

 ファイルサーバなど、あまり改修の必要がなさそうなサーバなら、サポート切れ直前のタイミングでの移行でも構わないかもしれないが、普通の業務アプリケーションはそうはいかない。移行先での動作検証や、改修の必要のあるアプリケーションの洗い出しと改修実行、テストには、一般的には1年以上を見ておかなければならない。

 テストの結果が悪ければ、さらに改修を行う必要が出てくることもある。十分に余裕のあるスケジュールで移行作業が行えるよう、できるだけ早急に移行先を特定することをお勧めする。

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