ネットワーク経由の遠隔監視やリモート制御に適したルータとは?
カメラやセンサによる遠隔の監視や、工業機械の遠隔リモート制御などをネットワークを介して行う場合、対象となる拠点にどのようなルータを設置すればよいかは重要なポイントだ。
「屋外の設置では、寒冷地の低温などへの対応が必要」「機器内部への組み込みや、ソーラー電源、バッテリ電源から入力を行うため、DC電源を利用したい」「監視機器が滅多に作動しないのに、常時接続では通信コストが膨大になるので、必要な時だけ瞬時に起動させたい」など、様々なニーズが考えられるが、一般的なルータにモバイルカードなどを組み合わせた方式では、対応できないことも多々発生する。
そこで注目なのが、通信モジュールを内蔵し、3Gのモバイル網を利用してワイヤレスWANを実現する産業用の高機能モバイルルータだ。次項のケーススタディで遠隔監視やリモート制御に適したルータの具体的な活用法を見ていこう。
|
監視カメラ |
高速&定額の3G回線で常にリモートからのアクセスを可能に |
製造業のA社では、生産ラインや敷地内の監視のためにネットワークカメラを設置している。A社では、屋外設置の監視カメラに対するルータとして、センチュリー・システムズのFutureNet AS-250シリーズを採用(以下、AS-250)。モバイル通信の3G回線を活用することで、高速かつ定額でのインターネット接続を可能にしている。
【A社がAS-250を選定したポイント】
●常時接続でも定額料金の3G回線を利用しているため通信コストを抑制
●屋外ではUSB接続のモバイルカードだとポートから外れる不安があるが、
SIMカードを直接ルータに装着できるので安心
●固定に割り与えたDNS(Domain Name System)名を利用することで、
グローバルIPアドレスが動的に変化しても、常にリモートからのアクセスが可能
●WarpLink DDNSで接続/切断の状態がメールで通知されてくるため死活監視が可能
リモート制御 |
センサが異常を検知した時だけSMSを利用して通知 |
警備会社B社では、監視用のセンサと組み合わせるルータとしてAS-250を採用している。多くの顧客のもとに監視用センサを設置しているため、AS-250を採用するまでは、モバイル通信網の常時接続では通信コストが大きな負荷となっていた。また、「1ヵ月に一定以上のデータ通信を行うと、帯域を制限される」といった通信料のハードルも問題であった。
【B社がAS-250を選定したポイント】
●センサからの異常通報(DI)を受信するとAS-250からSMSで通知
●異常があった場合のみ接続することで通信量の制限があってもOK
●監視側がAS-250を起動したい時には、監視側の携帯端末からのSMSを用いて瞬時に起動可能
可搬型LED |
ソーラー電源を用いた道路標示LED板の書き換えをリモートで実施 |
建設業C社では、道路工事の現場に設置する道路表示板(RS-232端末)の文字の書き換えを遠隔で制御するために、TCP/IPとRS-232のプロトコル変換機能を有した AS-250を活用している。道路標示板は太陽光パネルにより充電器バッテリに蓄電することで稼働するLED版を採用しているが、この充電器バッテリからAS-250へも給電する方式をとっている。
【C社がAS-250を選定したポイント】
●DC接続が可能なのでソーラー電源でも給電できる
●待機時は0.5W以下、使用時でも3.9Wと低消費電力
●バッテリの低下をデジタル入力で検知しe-mailにて通知
1 |
基本的なネットワーク機能を搭載 |
AS-250シリーズは、通信モジュールを内蔵し、3Gのモバイル網を利用してワイヤレスWANを手軽に構築できる産業用の高機能モバイルルータ。LAN間接続の機能と同時に、シリアルインターフェースを持つ装置やデジタル入出力を持つ装置を接続し、これらのデータをサーバに送信したり、サーバから制御するためのインターフェースや機能を備えているため、ネットワーク未対応のセンサや計測器のデータの監視をAS-250 1台で同時に行うことができる。基本的なネットワーク機能としては以下を有している。
SNTPサーバ機能
SNTPクライアントが動作するLAN側の機器に時刻情報を提供。内蔵の通信モジュールによりモバイルデータ網から時刻情報を取得しているため、常に正確な時刻を維持できる。
DHCPサーバ機能
最大128台のクライアントに対してIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイなどを自動的に設定。IPアドレスは動的な割り当てだけでなく、MACアドレスと関連付けた固定のIPアドレス割り当ても可能。
ポートフォワード機能
宛先ポートも変換できるため、LAN内の複数の機器が同じポートで待ち受けている場合でも、センタ拠点からアクセスするポートを分けることでLAN内の機器を識別して接続可能。
GREトンネリング機能
センタ拠点とリモート拠点をLAN-to-LANで接続することで、拡張性の高いネットワークを容易に構築。リモート拠点側でのアドレス変換が不要になり、直接リモート拠点のLAN機器のIPアドレスを指定して通信することが可能。
2 |
モバイル網経由でRS-232装置のデータ収集や制御が可能 |
TCP/IPとRS-232のプロトコル変換を行う「シリアル変換機能」により、センタ拠点からのTCP接続を受け、受信する電文をRS-232ポートに接続する機器に送信したり、RS-232ポートで受信した電文をTCPパケットに変換してセンタ拠点に送信することが可能。
また、TCP/UDPクライアントとして動作するモードを利用すると、シリアルポートでデータを受け取ったタイミングで接続を開始し、そのままサーバにデータを送信できる。これらの機能により、モバイル網経由でRS-232装置のデータ収集や制御が行える。
3 |
遠隔監視やリモート制御に適した豊富な機能 |
AS-250シリーズは遠隔監視やリモート制御に適した機能を有していることも、大きな特長の1つだ。
SMSをトリガーとした接続
センタ拠点からAS-250側の拠点に接続したい時には、センタ拠点の携帯電話などから該当するAS-250の電話番号にショートメッセージ(SMS)送信。SMSの着信をトリガーとして即座にインターネットに接続が可能。閉域網サービスや専用線接続を利用するより低コストで、センタ起動によるネットワークアクセスを実現する。
電源ONから数秒以内で通信可能
Linuxベースの機器では起動に1分程度要すことが多いが、AS-250はリアルタイムOSをベースとしているため、電源ON時は数秒以内で起動が完了。必要な時だけ電源を入れて使う用途にも適している。
待機時は0.5W以下、使用時でも約3.9Wの低消費電力
省電力動作モードでは、待機時の消費電力0.48Wで運用可能。通常の動作時でも省電力CPUや電源回路の最適化により、約3.9Wという低消費電力で稼働する。ファンレスで動作するとともに高信頼性を確保し、24時間365日の常時稼働が可能。
デジタル入力/出力に対応
SMSやe-mailを使った制御や通知と連動することが可能。
更なる詳細は資料ダウンロードで!
AS-250シリーズについて、今回紹介した各種機能の詳細をまとめたのが『FutureNet AS-250シリーズの機能紹介』だ。 |
|
製品名 | FutureNet AS-250/S、FutureNet AS-250/F-SC |
---|---|
メーカー | センチュリー・システムズ |
寸法 | 146(幅)×78(奥行)×25(高さ)mm |
質量 | 約360g |
電源 | DC 5〜24V |
筐体タイプ | 小型タイプ |
プロセッサ | Kinetis K70 120MHz(ARM Cortex-M4) |
メモリ容量 | 128KB(SRAM)、64MB(DRAM) Flash ROM 1MB、EEPROM 8KB、SPI Flash 8MB ※外部メモリ:マイクロSDカードスロット×1 |
内蔵ドライブ | - |
機能 | 【運用管理機能】 DHCPサーバ/DNSリレー・キャッシュ/SYSLOG/時刻同期/メール通知機能/WarpLinkDDNS/ファームウェア更新機能(付属専用ソフトウェア) 【ネットワーク機能】 GRE/スタティックルート/NAT、NAPT |
インターフェース | ・10BASE-T/100BASE-TX ×4ポート(スイッチングハブ) ・RS-232(DTE)×1ポート ・無電圧入出力接点(DI×2ポート、DO×2ポート) ・SIMカードスロット×1 (SoftBank/FOMA) ・外部アンテナコネクタ(SMAコネクタ×1) |
OS | - |
その他特記事項 | ・閉域網サービス対応(ドメイン登録数5個、発着信可) ・省電力機能(通信時:約3.9W/待機時:約0.48W) ・SMSリモートコマンド機能 - PPP接続/切断制御、接点入出力制御 ・接点入出力(無電圧):DI ×2ポート、DO ×2ポート DI =>省電力待機モードからの復帰、メール送信トリガー DO=>SMS受信による外部装置電源制御 ・シリアルポートサーバ機能(プロトコル変換機能) - TCP透過サーバモード/TCP透過クライアントモード/ TCPサーバ&クライアントモード/Comリダイレクター ・動作環境条件:-20℃〜60℃、10%〜90%(結露なきこと) |
製品サイトURL:http://www.centurysys.co.jp/ |
製品・サービスの取扱い企業
センチュリー・システムズ株式会社
部署名:営業部
住所:〒180-0022 東京都武蔵野市境1-15-14 宍戸ビル
TEL:0422-37-8112
FAX:0422-55-3373
e-mail:sales@centurysys.co.jp
URL:http://www.centurysys.co.jp/
掲載企業
センチュリー・システムズ株式会社
部署名:営業部
住所:〒180-0022 東京都武蔵野市境1-15-14 宍戸ビル
TEL:0422-37-8112
FAX:0422-55-3373
e-mail:sales@centurysys.co.jp
URL:http://www.centurysys.co.jp/