IP無線システム　VoIP ラジオ ディスパッチ システム (VoIP RDS)

▼VoIP RDSとは
VoIP ラジオ　ディスパッチ システムを一言で表現すると「VoIP (Voice over Internet Protocol)技術により、無線機をIP網に接続＆統制できるシステム」ということになる。システムの中心となるのが「VoIPラジオゲートウェイ(通信音声をIPネットワークに流すIPゲートウェイ)」と「専用PCソフトウェア」だ。この2つをLANやWANに接続することで、無線通信によるリアルタイムコミュニケーションが実現。通話エリアの柔軟な設定も可能になる。

●構内・遠隔無線機リモートコントロール
屋上や地下、または遠隔地にある最大40台までの基地局無線機をリモートコントロールすることが可能。
●不感地帯対策ソリューション
無線エリア外や電波が届かない不感エリアに、基地局無線機を設置することでエリアカバーが可能。
●一斉呼出
IPネットワークに接続された全基地局無線機を一斉に呼出すことが可能。

無線機のIP対応を実現するVoIPラジオゲートウェイは、無線機接続ポートを2系統搭載、1台で2台の基地局無線機の接続が可能。
（PCコンソールからリモートコントロール可能な基地局無線機の総数は40台）

IPネットワークによる通信により、業務用チャネルでもカバーできない遠隔地同士の無線通話が可能になる。
また、1台のPCコンソールで複数の局（最大40局）＆グループ（最大10グループ）を束ねてリモートコントロールすることも可能。
これにより、既存の無線通信システムを活かし、新規システムを追加＆統合運用したい…といったニーズにも柔軟に対応できる。

PCコンソール（指令卓）には、PCにインストールして利用する専用ソフトウェアを採用。操作画面は日本語表示に対応しているので、
PCユーザなら無線の知識がなくても違和感なく直感的に操作できる。

IRR(Instant Recall Recorder: インスタント リコール レコーダ)機能を搭載しているので、音声通話をPCコンソールのハードディスク上に記録することも可能。基地局無線機のチャンネル切り替えやモニタリングなど、PCコンソールから最大99のリモートコマンドに対応することもできる。

メカニカル・ボタンを採用した従来のコンソールに比べ、故障発生が少なく、ブラウザを利用した遠隔での調整も可能なのでメンテナンスの手間やコストを削減できる点も大きなメリットだ。

ワシントン州、ピュージェット湾地域において、100万人超への電気供給と、70万人超への天然ガス供給を行っているPSE(Puget Sound Energy)社は、ワシントン州最大級のユーティリティ(公益事業会社)だ。通常はメインのディスパッチ制御センタが稼働し、安定供給を続けているが、万一の障害に備え、バックアップ ディスパッチセンタの設置を検討する必要に迫られていた。しかし、新無線システム導入の際、高価な投資は避けたいと考えていた。

「なんとか既存の無線システムを活用しながら、手頃な価格で、バックアップ ディスパッチセンタが構築できないものか…」PSE社は、コストダウンが実現する新無線システム導入の方法を探った…

2009年後期、アイダホ州ボイジーにあるIGC(IINTERMOUNTAIN GAS COMPANY)社は、ある問題を抱えていた。天然ガス流通会社であるIGC社は何年もの間、ラジオ ディスパッチ コンソールとシステムの共通制御用機器を1つの場所に収容していたが、IGC社の親会社であるMDUリソース社が、約7マイル離れた場所へのIGC社移転を決定。ところが、コンソールは移動できても、サービスセンタにある無線タワーの使用制限のため、制御用機器が新しい場所へ移設できないことが判明したのだ。

「7マイルの距離は、通信の限界を超えている…」IGC社は、有線接続以外で、コンソールを制御用機器と接続するための方法を見つける必要があったが…