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 いよいよマイナンバーの正式運用が2016年1月からスタートする。この記事を目にした時点で、住民票を有する人すべてに、12桁のマイナンバー(個人番号)を記載した「通知カード」の郵送が行われているはずだ。しかし、この時期に至っても、まだ何も手を打っていない企業が少なくないという。繰り返すが、既にマイナンバーの配布は開始され、約2ヵ月後にはその正式利用がスタートする。企業のマイナンバー対応は義務である。まだ有効な手を打っていない場合は、今から何を行うべきか?最終スケジュールをおさえるとともに、最低限の知識をおさらいしておこう。
 下記スケジュール(政府広報資料「マイナンバー社会保障・税番号制度 民間業者の対応」をベースに作成)では、現在マイナンバーの「通知カード」の郵送がスタートしているところだ。法人には「法人番号」が通知されている。政府広報資料のスケジュールでは『事業者の対応』の『制度開始に向けた準備』はこの時点で終えていて、『従業員の番号取得開始』がスタートとなっているが、現時点で手を打っていない企業は今ここからなので、11月よりのスケジュールとして記載している。そして2016年1月から、『申請書・申告書調書等順次番号記載開始』、つまり本格的なマイナンバーの運用が始まるのだ。

図1:マイナンバー制度への対応イメージ

ここだけはおさえておきたい!
マイナンバー制度の基本
 マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)とは2016年1月から「社会保障(年金・労働・医療・福祉)」「税」「災害対策」の行政手続で使われるもので、住民票を有する人に、一人ずつ固有の12桁のマイナンバー(個人番号)が割り当てられるものだ(図2参照)。これは郵送で通知され、通知された本人は、原則生涯そのマイナンバーを使うことになるので、大切に保管しなくてはならない。なお、マイナンバーは当初「通知カード(紙)」で郵送されてくるが、申請すれば「個人番号カード」の交付を無料で受けることができる。これは、本人確認の身分証明書として使える他、ICチップに搭載された電子証明書を用いれば、各種電子申請が行えるなど各種行政サービスにも利用できる。なお、2017年1月より、「情報提供等記録開示システム(愛称:“マイナポータル”)」と言うポータルサイトが開設され、自分の個人情報の内容の確認や、誰がいつ何のために提供したのかなどを自宅のパソコン等から確認することができるようになる。また、企業についても、13桁の企業版マイナンバー(法人番号)が交付され、法定調書提出時などに必要となるので留意されたい。

図2:マイナンバーが必要となる分野


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マイナンバー対応は企業の義務!
対応事項とポイントは?
 マイナンバー制度で重要なポイントは、民間事業者が必ずマイナンバーに対応しなくてはならないことだ。つまり「義務」なのである。対応事項は大きく分けて次の3つだ。

(1) 社員・アルバイト・パート等のマイナンバーの取得
(2) 本人確認
(3) 法定調書への記載

 それぞれのポイントを見ていこう。
(1) 社員・アルバイト・パート等のマイナンバーの取得
 企業は雇用する人、つまり給与を支払うすべての人のマイナンバーを取得しなくてはならない。これは短期のアルバイト・パートも含む。更に、デザイナーなど個人の外注者、外部有識者への講演や原稿などの謝礼も含まれるので注意が必要だ。また、「マイナンバーの取得に当たって利用目的をきちんと明示する」ということが義務づけられている。法律では、限定的に明記された目的以外で、マイナンバーの提供を求めたり利用したりすることは禁止されている。なので、マイナンバーを従業員等から取得する前にその目的を伝えなくてはならない。
(2) 本人確認
 企業にとって、実務的に大変な課題の1つがこれだろう。本人確認を厳格に行なわなくてはならない。番号(マイナンバー)のみでの本人確認では“なりすまし”のおそれがあるので、マイナンバーの確認と同時に身元確認が必要となる。「個人番号カード」を持っている人は、マイナンバー確認と身元確認が、そのカードのみでOKとなるが、郵送されたマイナンバーだけの通知カードの場合は、運転免許証やパスポートなどでの身元確認が必要である(それが困難な場合は別の対応策が必要)。多くの従業員、あるいはアルバイト・パートを雇用する企業にとっては、この (1) (2) だけで、かなりの労力が必要である。マイナンバー管理についての認識を高めるためにも、従業員にマイナンバーについての説明、教育を行なっておく必要があるだろう。
(3) 行政提出書類への記載
 2016年1月からすぐ対応が必要なのは、入退社にかかわるハローワーク関連の書類への記載である。現時点で心配されるのは、年始から年度末にかけての短期アルバイト・パートのマイナンバー対応だろう。また、3月〜4月に多い入社や退社についても、届け出にマイナンバー対応が必要なので注意が必要だ。
税務関連の書類、たとえば申告書、申請書、届出書、調書等にもマイナンバー記載が必要となる。したがって税務関係書類の様式も変わり、マイナンバーの記載欄が設けられる。これらの申告書の様式は国税庁ホームページで順次公表されていく。企業としてはマイナンバーの使用開始は2016年1月からとなるので、当然、使用開始時期に向けてマイナンバー管理業務ソフトなどへの入力が必要となるだろう。
 社会保障関係、雇用保険、健康保険・厚生年金各提出書類にもマイナンバー記載が必要であり、業務部門(総務・経理・人事等)が連携して対応することが求められる。年金のつなぎ込みについては延期が発表されたが、準備することは何も変わらない。

 さて、ここで企業のマイナンバー対応において、とくに重要なポイントがある。それは「マイナンバーの適切な安全管理措置」に組織として対応しなくてはならないことだ。これを次に説明しよう。

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刑事罰も!マイナンバーの適切な管理
“安全管理措置”が必須
 企業の義務として、マイナンバーの適切な『安全管理措置』を行わなくてはならない。また、その保管、更に廃棄まで厳しく管理することが義務となる。マイナンバーを含む個人情報は「特定個人情報」と呼ばれ、情報漏洩などの違反が生じた場合、個人情報保護法とは異なり、罰則まで設けられている。漏洩させた従業員個人だけでなく、使用者である法人にまで、罰金などの刑事罰が科されるのだ(図3参照)。
 したがって、組織として安全管理措置を行うことが必須となるが、政府からは、民間事業者への対応ポイントとして次のような項目が挙げられている。
・基本方針の策定
「特定個人情報」の保護に関する基本理念を明確化し、法令遵守・安全管理・問い合わせ・苦情相談等に関する方針を決めておく。
・取扱規程等の策定
事務担当が「特定個人情報」を取り扱う場合のマニュアルやフロー等の手順を示した文書を作成し、従業員が参照しやすくしておく。
・組織的安全管理措置
担当者を明確にして、担当者以外が「特定個人情報」を取り扱うことがないような仕組みを構築しておく。
・人的安全管理措置
従業員の監督・教育を行なっておく。
・物理的安全管理措置
「特定個人情報」の漏洩・盗難等を防ぐ措置。のぞき見されない座席配置や間仕切りの工夫や、書類の鍵付きキャビネットへの保管等の措置を行なっておく。
・技術的安全管理措置
アクセス制御やウィルス対策などシステム周辺のセキュリティ対策を行なっておく。

 どれも大切なポイントであるが、とくに「取扱規程」の策定と「セキュリティ対策」について不安を抱える中小企業が少なくないと思われる。専門家の助言等を含め、早期の対策が必要であろう。

図3:特定個人情報取扱いに関して法令違反があった時の刑事罰例


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意外と忘れがち?
マイナンバーの“廃棄”にも注意が必要!
 マイナンバーは収集、管理だけでなく、廃棄にも制限がある。本来、マイナンバーを内容に含む「特定個人情報」は、法律で決められた事務作業以外に用いてはならず、更に退職するなどした従業員の「特定個人情報」は所管法令で定められた保存期間を過ぎた場合、速やかに、しかも安全な方法で廃棄または削除しなくてはならない。たとえば紙の書類であれば年限を明記して管理するなど、不要になったマイナンバーを削除するシステムを考えておく必要があるだろう。
 ここまで、マイナンバーの収集から法定書類の作成、更に安全措置や廃棄までの業務を見てきた。一連の業務負担を考えると、外注化できないものか?あるいは安全にマイナンバーを取り扱うために、自社で保有しない、つまりクラウドなどに保管する方法はないのか?という疑問がわいてくるだろう。
 そこで、マイナンバー関連事務作業の外部委託について考えてみたい。

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業務負担の軽減に…
マイナンバー業務は外部委託できる!?
 やはり中小企業にはマイナンバー対応の業務負担が大きい。中小企業には若干の負担を軽減するための措置はあるが、それでも少ないスタッフで対応するのは困難であろう。大企業においても、雇用者が増えれば増えるほど業務負担も大きくなり、自社内ですべて対応できる企業は少ないのではないか?しかしマイナンバー関連の事務作業は外部委託することができる。大きく分けると「マイナンバーの収集」と「マイナンバーの管理(から廃棄)」の業務。その全部または一部を外部に委託することができるが、やはり委託先に向けて厳しい「安全管理措置」を行うことが求められる。更に、委託先のみならず、再委託先の監督義務を負うことになる。

(1) 委託先の選定
(2) 委託先に安全管理措置を遵守させるために必要な契約の締結
(3) 委託先における特定個人情報の取扱状況の把握

 契約書類には、秘密保持義務、事業所内からの特定個人情報の持出し禁止、特定個人情報の目的外利用の禁止、委託契約終了後の特定個人情報の返却または廃棄、従業者に対する監督・教育、契約内容の遵守状況について報告を求める規定等、盛り込まなければならない事項が、政府が公表しているガイドラインに定められている。

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再確認!“最終スケジュール”で
自社の対応事項を検討しよう

 さて、いよいよマイナンバー制度開始まであとわずか。最終スケジュールを確認して、今すぐ自社は何をやるべきかを検討しよう。いろいろ課題は多いが、あまり恐れることもない。これほど大きな改革は近年まれであり、実はどこも不安を抱えている状態であろう。専門家に、自社にあったアドバイスを求めれば身の丈にあった対応策があるはずだ。まずはこのスケジュールをチェックして、自社の方針を検討していただきたい。

図4:マイナンバー制度対応の最終スケジュール例




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